経済

沖縄県内ホテル売買の動き広がる コロナで苦境、外資系など買収検討 県内関係者に危機感も

 新型コロナウイルスの影響で観光業が打撃を受け、価格を下げてでもホテルを売りたい事業者が出てきていると同時に、外資系の企業や投資家らが宿泊施設の買収を検討する動きが広まっている。沖縄県内の関係者の間には「沖縄の多くの不動産や観光収益が県外、海外に持ち出されかねない」と危機感が強まっている。

 ホテルの運営などを手掛けるスターリゾート(那覇市)は5日に、M&A(企業の合併、買収)を希望するホテルの売却案件などを掲載したウェブサイトを開設した。

 掲載案件には、宮古島のプライベートビーチ近くのホテル(客室数10~30室)で売却希望金額が20億円、沖縄本島でプールや家電家具付きのオーシャンビュービラ(10室以下)で売却希望金額4億8400万円などの施設がある。スターリゾートの担当者は「ホテルを売って、いち早く資金を手にしたい事業者もおり、今後も掲載は増えてくるだろう」と話す。


M&Aを希望する宿泊施設の案件を掲載したスターリゾートのウェブページ

 これに対し、沖縄のホテルを買いたいという問い合わせも5月ごろから増えており、問い合わせ数は1カ月で60社に上るという。同社によると、買い手は県外大手の不動産デベロッパーや個人の投資家がほとんどという。観光客の減少で県内の観光施設は稼働率が大きく落ち込んでいるが、海外旅行の制限が当面続くと見込まれる中で、今後は国内の旅行先として沖縄が選ばれるという見方があるようだ。

 県内で観光アドバイザーなどを務めるRYUZ沖縄の藤本隆司代表によると、県外や海外の投資家などから「1棟貸しの民泊物件」を買いたいという相談も増えている。今帰仁村や本部町、南城市など、本島北部や南部のビーチ近くの物件が人気だという。1棟貸しの施設は、ネットで宿泊予約しデジタルキーなどでチェックインできるなど、人との接触を避けることが可能なために、新しい生活様式の観光として注目度が高いという。

 観光客の激減で赤字の続く状況が長期化し、資金繰りの悪化から、事業の売却検討を余儀なくされている施設は少なくない。投資家などの間では、長期的には沖縄の観光は回復するとの予測で、売りに出てくる沖縄の物件は投資価値が高いとの認識があるという。こうした状況に藤本代表は「良いものは県外や外国に取られて、利益が沖縄に落ちないということにもなりかねない」と懸念を深めている。

 県内で不動産業を営む男性の下には、那覇市内のシティーホテルの売買を持ち掛ける話もきている。台湾の投資家から、県内のあるホテルを買いたいという相談も受けている。男性は「売買には億単位のお金が動くため、契約には半年ほどはかかる。半年後には売買成立したホテルが増えるかもしれない」と話した。
 (中村優希)



関連するニュース







  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス