休校中も双方向学習 オンライン授業、広がる活用


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
教員の指導を受けながらタブレット端末を使って学習する子どもたち=5日、恩納村立安富祖小学校

 県内の多くの学校で続いた新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う長期休校。約2カ月間続いた休校で、オンライン授業が注目された。タブレット端末などは教員と子どもたちが双方向でやり取りできることから、自宅学習での活用の可能性も出てきた。

 児童72人が通う恩納村立安富祖小学校。5月末にコロナに伴う休校が終わり、ようやく校舎に子どもたちの元気な声が響くようになった。同校では昨年度、携帯電話会社の協力を得てタブレット端末を50台導入し、本年度は児童全員分に拡充した。児童たちの机の上には教科書やノートに混じってタブレット端末が並び、教室に溶け込んでいる。

 5日の6年生の社会科授業。この日は税金の使い方が授業のテーマだ。「病気になった時や介護が必要な時」「ごみ回収」「消防や警察」。子どもたちが税金が使われているものを考えたり調べたりして、それぞれタブレット端末に打ち込む。各自で回答を送信すると教室前方の電子黒板に一覧で表示され、一人一人の意見を教員が紹介し始めた。タブレット端末と電子黒板をリンクした授業スタイルだ。

 児童たちはタブレット端末の扱い方をマスターしている様子で、中にはキーボードを接続して入力する子も。児童の一人は「扱いには慣れた。(紙に)書いてまとめるより便利だ」と語る。

 文部科学省も「GIGAスクール構想」を打ち出し、本年度中に小中学校での「1人1台」実現を目指している。安富祖小は先取りして取り組んだ形だ。タブレット活用を進めてきた大城智紀教頭は「ICTは学習インフラとして今後、必要になる」と力説する。

 同校では休校期間中の家庭学習にもタブレット端末を活用した。携帯電話用の通信回線「LTE」を通じ、紙の宿題の経過を写真で撮影して教員に送信したり、計算や漢字の学習アプリを使ったりした。大城教頭は「タブレット端末を取り入れて意欲的に家庭学習に取り組むようになった子もいる。質問などで双方向学習の良さがみえる場面もあった」と振り返る。

 休校期間中は朝の検温報告やメッセージのやり取りなど、タブレット端末を通したコミュニケーションにも取り組んだ。5年担任の坂口千明教諭は「子どもたちと会えない中でもやり取りでき、休校後もスムーズに再開できた」と語る。

 新型コロナ「第2波」に備えて、学校へのタブレット端末導入の動きも出てきている。恩納村は全小学校で導入する方向で調整している。全児童用に約700台の購入費を補正予算に盛り込み、村議会に提出する方針だ。国の補助事業を活用する。村教育委員会の担当者は「新型コロナの第2波、第3波に備えて、安富祖小の事例を参考に村内各校でオンラインの活用法を考えていきたい」と語った。 (塚崎昇平)