戦前は国宝だった崇元寺 国の史跡指定目指し発掘調査へ


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沖縄戦で建物が焼失した崇元寺跡

 那覇市は沖縄戦で建物が焼失した崇元寺跡の発掘調査を2020年度後半に実施する。市は1982年に崇元寺跡の一部の発掘調査を行っているが、今回は全体的な遺構の保存状態を確認する。調査を踏まえて国の史跡に指定されることを目指す。9日の市議会6月定例会一般質問で比嘉世顕市民文化部長が上里直司氏(なは立志会)に答えた。

 崇元寺は琉球の歴代国王の位牌(いはい)を安置した国廟(びょう)。戦前は国宝に指定されていた。現在は焼け残った石門や石垣が国の重要文化財に指定されている。中心的な建物の「正廟」などがあった部分は現在、市の公園になっている。

 市の担当者は「崇元寺は中国の冊封使が琉球を訪れた際に、先王をまつる儀式が行われた重要な場所だ。史跡に指定することで崇元寺跡の空間全体をより確実に保護できる。遺構の保存状態が良く、資料や予算などの条件も整えば、将来的には復元の可能性も秘めている」と話した。調査や報告書作成、その評価が順調に進んでも、史跡指定までに5~6年は要するという。82年の調査では正廟などの遺構の一部が良好な状態で確認された。