【記者解説】MICEに民間活用、コロナ禍が不確定要因に


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 当初は2020年度に供用開始予定だった大型MICE(マイス=国際会議、展示会など大型イベント)事業は、財源と見込んでいた沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)の交付を国が認めず、一括交付金が続く21年度末までの施設の完成が見込めなくなっていた。

 民間との連携で財源を確保する方針を県が固めたことでMICE整備事業は再スタートを切る形だが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という不確定要素も加わり、依然として完成時期は見通せない。

 一括交付金の活用を巡っては内閣府が事業の採算性を疑問視し、交付決定してこなかった。県は官民連携で事業を推進する方針へと転換するに当たり、これまでの計画では投資の呼び込みが不利と考え、周辺施設も含めて民間と一体的に開発する考えだ。

 さらに、新型コロナの影響で大規模イベントなどは開催の在り方が見直されていくこととなり、県はこれから整備する施設の規模やコンサート仕様の有無なども再検討する。

 玉城デニー知事は「従来の計画に固執するものではなく、またゼロにすることでもなく、新たな視点を加えて検討したい」と話しており、従来計画と異なる施設に変わる可能性もある。

 大型MICEの規模を巡っては計画の決定時に激しい議論があった。最終的に当時の翁長雄志知事が規模拡大を求める経済界に配慮して政治決着を図り、4万平方メートル規模に決まるなど紆余(うよ)曲折をたどった。見直しによって再度議論が紛糾する可能性もある。

 また、新型コロナの影響で世界的に経済が停滞しており、適切な民間投資が受けられるかを含め、連携先の確保と選定も課題となってくる。

(梅田正覚)