戦争マラリア犠牲者の冥福祈る 石垣市でコロナ対策の追悼式 30人が不戦へ誓い


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 【石垣】石垣市は慰霊の日の23日、八重山戦争マラリア犠牲者追悼式と市全戦没者追悼式・平和祈念式を開いた。新型コロナウイルスの影響で規模を縮小しての開催となったが、参列者は、八重山で多くの命が奪われた戦争マラリアの犠牲者らの冥福を祈るとともに、不戦の誓いを新たにした。

手を合わせて犠牲者の冥福を祈る参列者=23日、石垣市の八重守之塔

 両追悼式には例年200~300人が参列するが、今回は案内した30人ほどで行われ、内容も一部省略された。

 八重山戦争マラリア犠牲者慰霊之碑前で行われた戦争マラリア追悼式では、黙とうや焼香で戦争マラリア犠牲者3647人の冥福を祈った。遺族会の佐久川勲会長は「戦争の悲惨さ、体験・教訓を正しく伝えることは私たちの責務だ。この地から世界の恒久平和を願う」と追悼の言葉を述べた。

 八重守之塔での追悼式・平和祈念式では、石垣第二中1年の南孝之輔さんと八重山高1年の南慎之輔さんが「平和を考える作文」を朗読した。

 孝之輔さんは「戦争体験者の数も減っている今だから、平和についてみんなでもう一度考えていかないといけない」と訴えた。慎之輔さんは戦争体験者だった曽祖母との別れを語り「これからは私たちが次の世代へと平和について聞いたことや考えたことをしっかりと伝えていくから」と誓った。

 中山義隆市長は平和宣言で「戦争はいかなる理由をもってしても決して正当化できるものではない。あのような思いは二度と繰り返さないという誓いを胸に刻まなければならない」と述べた。