【北・中部】米軍基地内で60人以上の新型コロナウイルス感染者が明らかになった11日、米軍普天間飛行場とキャンプ・ハンセン周辺の地域住民らは「怖い」と口をそろえ、不安な表情を浮かべた。感染者情報を非公表にしていたことなど、米軍側の対応を疑問視する声が相次いだ。
普天間飛行場とキャンプ・ハンセンの主要ゲートでは11日、出入りする全運転手に対する検温が実施されていた。
同飛行場の大山ゲートにほど近い大山区内では米軍関係者が住む住宅もあり、区民の不安は膨らんでいる。名城克巳自治会長(64)は、米軍関係者の感染拡大に「懸念していたことが起こった。地元の住民などとの接触がどれだけあったのか分からない。情報があれば何かしらの対策もできるが、情報がないのが問題だ」と指摘した。
感染者が入院する海軍病院を宜野湾市普天間のフェンス外から確認すると、全ての窓が閉じていた。出入りする人もまばらだった。周辺の男性事業者(85)は「日本政府は米軍の水際対策や行動管理の徹底を求めるべきだ」と語気を強めた。
中城村久場周辺のビーチでは6月、米軍関係者らによるイベントもあった。新垣和昭久場区自治会長(62)はその当日、若い外国人らを目撃した。マスクを着用していなかったことから「気が緩んでいたかも知れない。油断は禁物だ。(基地内の感染拡大は)怖い。軍事関係の情報を知られたくないのだろうが、情報を出さないとだめだ」と求めた。
複数人の感染者が確認されているハンセン。金武町金武のゲート前では、外国人客向けの店はほとんど閉じていた一方、名物のタコライスを扱う飲食店は営業していた。客の大半は商品を持ち帰っていた。
持ち帰りを利用した仲間秀幸さん(53)は町内で働く。「行こうか迷った。外からの噂も怖い」と風評を気にした。
ゲート近くで飲食店を経営する40代男性は「米軍は正確な数字を公表してほしい。数が分からないと対策も練られない」と悲痛な声を上げた。