子牛価格回復の兆し 県内2カ月連続上昇、7月競り61万円


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 新型コロナウイルス感染症の影響で暴落していた子牛の取引価格が回復しつつある。7月の競り実績は、1頭当たりの取引価格が税込み61万7184円で、2カ月連続の上昇となった。感染拡大の影響を受けた3月以降、全国的に枝肉需要が落ち、子牛価格も5月の競りでは51万円台まで下がって農家の経営を圧迫した。緊急事態宣言が解除された6月以降、和牛の需要が回復したことで肥育農家が子牛の導入を始め、子牛価格は上昇傾向にある。

 近年、宮崎県での口蹄疫(こうていえき)発生や東日本大震災で全国的に子牛が不足したことで、県内の子牛の取引価格は70万円台で推移し「バブル並み」に高騰していた。
 子牛不足の解消により、2019年から低下傾向にあった。さらに新型コロナの発生が価格下落に拍車をかけた。海外観光客の渡航制限も影響し、インバウンド需要の高い和牛の在庫がだぶついた。
 県内の子牛価格が大きく下落したのは、3月に入ってからだった。3月の市場での子牛の取引価格は59万34円となり、前回比8万1596円(12%)の大幅減だった。その後も下落を続け、5月には51万6692円まで低迷した。
 6月に入ると、取引価格は60万2234円に回復した。県畜産課は「肉の在庫が動く大型連休明けの6月は、例年価格が上がる傾向にある」と背景を説明する。例年通り肉を購入する食肉卸業者が多かったという。
 7月の取引価格も上昇を続け、価格の回復の兆しを見せる。一方で県畜産課の担当者は今後の見通しについて「東京などで感染者が出ていることで今後の予想が立てづらい」と話す。
 JAおきなわも「新型コロナが収束に向かうとみて肉を仕入れる業者もいたはずだ。今後の感染拡大が価格に影響する」と全国の感染状況を注視している。