梅雨明け後、雨が多いのはなぜ? 史上初「7月台風ゼロ」の可能性も


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激しい雨が降る中、傘を差して横断する人たち=9日、那覇市久茂地

 7月1日から20日までの沖縄地方は、湿った空気の影響で各地で大雨が確認された。6月12日に梅雨明けしたものの、各地で天気が崩れる日が続く。沖縄気象台は「降水量が平年の2~3倍となっている所もある」とする。7月の台風発生回数もゼロで「このまま台風が発生しなければ観測史上初めてとなる」。同気象台によると、どちらの“異変”も日本の南西に張り出している太平洋高気圧が影響しているという。

 沖縄気象台によると、7月1日から20日までの降水量は那覇で209・5ミリ(平年値84・6ミリ)と約2・5倍、久米島は3・1倍、南大東島が約3・1倍、石垣島で約2・3倍と、各地で平年を上回った。与那国島だけが平年値70・6ミリより少ない23・5ミリだった。

 梅雨が明けても雨が降る原因として、日本の南にある太平洋高気圧が強く南西へ張り出していることが影響している。暖かく湿った空気が沖縄付近に流れ込み、南シナ海の海面水温も高く上昇気流となって雨雲が発生する。平年なら太平洋高気圧は日本列島にある梅雨前線を北へ押し上げるが、その力がなく梅雨前線も日本列島付近で停滞したままになっている。

 また、ことしは1月から6月までに台風は二つしか発生していない。7月の発生は23日時点でゼロ。平年は1~7月までに7・7個発生する。このまま7月に台風が発生しない状態が続けば観測史上初めてとなる。沖縄気象台によると、これも太平洋高気圧の影響で下降気流となったため台風の発生が抑制されたと考えられる。

 太平洋高気圧を回り込む湿った空気の影響で大気の状態が不安定となれば、場合によっては災害の恐れも出てくる。積乱雲が発達し、落雷や竜巻などの激しい突風による被害が起こる恐れもあり、屋外活動などには注意が必要だ。

 気象台によると、8~10月の降水量は、ほぼ平年並みか多くなる見通しだ。