前衛的な音楽で世間を驚かせたバンド「六人組」が22日、初アルバム「1984―88」(スーパーフジディスク)を発売した。「六人組」は1984年、ドラムスの國場幸順(65)が呼び掛け、ボーカルのミユキ、ギターの矢野憲治、ベースの金城浩樹、キーボードの玉城さとみで結成した。85年に「NHKヤング・ミュージック・フェスティバル」でグランプリを受賞し人気を博した。結成の背景や楽曲への思いを、作詞・作曲も手掛けた國場に聞いた。 (聞き手 藤村謙吾)
―「六人組」結成のきっかけは。
「1984年当時は、那覇市の楽器店に勤めながら、さまざまなグループの曲作りやドラムスをしていた。『NHKヤング―』の地区予選開催1週間前に、関係者から出場を打診されたため、急きょ結成した。5人組だけど、オーディエンスを6人目として、『六人組』という名前にした」
―グランプリを受賞した曲「水辺の踊り」はどのような思いで作ったのか。
「楽器店やバンドのサポートメンバーを務める中で、さまざまなクリエイション(創作)があった80年代の音楽に触れ、それらに尊敬の念を抱いていた。自分もオリジナルの楽曲を作りたくて、自分の中に蓄積していたものをぶつけてみようと、東南アジアと東アジアの音を混ぜてできたのが『水辺の踊り』だった」
―多国籍な曲想で三線も用いられていないのに、聞いていると沖縄の風景も浮かび上がってくる。どのように作曲したのか。
「インドやバリ島の音階を削ると沖縄の音楽になるように感じた。それにブルースの半音を足すなどして、自分なりの音階をフィーリングで作り上げていった。音楽的に正解か分からないが、方法論をつかめた事がラッキーだった」
―36年越しのアルバム発売への思いは。
「中途半端に終わってしまったので、応援してくれた方々には申し訳なかったが、なんとか形になったので、許してほしい。メンバーには、今までにない曲に挑戦してくれたことに、感謝している。『六人組』を知らない人にも聞いてもらい、36年前にこういう『挑戦』があったと感じてもらえればと思う」
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國場は、87年に発売されワールドミュージックブームを起こした「Neo Geo」(坂本龍一)の制作に関わる。古謝美佐子ら沖縄の歌い手をセレクトし、レコーディングにも立ち会った。そんな國場が自らのこだわりを形にした「1984―88」は沖縄の風を感じさせる「ワールドミュージック」の出発点として、強烈な個性を放つ作品に仕上がっている。2500円(税抜き)。問い合わせはディスクユニオン(電話)03(3511)9955。