保革・経済界、合流導く 翁長雄志前知事死去から2年


社会
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辺野古埋め立て承認の撤回を表明する翁長雄志氏。翁長氏にとって最後の公の場となった。会見の3日後には再入院した=2018年7月27日、県庁

 翁長雄志前知事が死去してから8日で2年を迎えた。県政最大の課題である米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設問題では、工事を強行する政府と厳しく対峙(たいじ)した一方、超党派の枠組みである「オール沖縄」をつくり上げ、県内の政治潮流を大きく変えた。翁長氏が与えた県内政局や基地問題への影響を振り返る。

 「イデオロギーよりアイデンティティー」。翁長氏が掲げたスローガンの下に集まった「オール沖縄」勢力は、辺野古新基地建設反対を一致点に従来の革新共闘に保守政治家や経済界が合流した。

 翁長氏が勝利した2014年の知事選以降、衆院選や参院選などの大型選挙では勝利を収めてきた。

 現在、県選出・県関係国会議員9人のうち「オール沖縄」系は5人だが、比例復活や比例代表候補を除けば6人中5人が「オール沖縄」系だ。

 大型選挙で勝利を重ねる一方、名護市長選や宜野湾市長など市長選では負けが目立つ。県内11市のうち、「オール沖縄」勢力が推す市長は那覇と豊見城、南城の3市長のみとなっている。

 来年には宮古島市を皮切りに、浦添、うるまの3市で市長選を予定しており、「オール沖縄」勢力の人選が焦点となる。

 「誰一人取り残さない社会」の実現を掲げ、翁長氏の遺志を継ぐ玉城県政下で行われた衆院沖縄3区補欠選挙や参院選では、いずれも「オール沖縄」勢力の候補者が勝利している。

 ただ、今年6月の県議選では、与党が25議席と過半数を維持したものの、野党が議席を増やすなど、その差は縮まっており、2年後の知事選を前に玉城知事にとって厳しい県政運営が続く。