沖縄から世界の頂点目指す 「王国の座取り戻したい」 FC琉球ビーチサッカー


沖縄から世界の頂点目指す 「王国の座取り戻したい」 FC琉球ビーチサッカー
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 FC琉球ビーチサッカー(BS)が今年1月に発足し、3月から本格始動している。選手兼監督の後藤崇介(35)を中心に結成され、7月5日の県大会は優勝。7月24日まで行われた九州大会では昨年覇者のアヴェルダージ熊本に準々決勝で敗れたものの、潜在力の高さを発揮した。2000年代前半、県内の大会には100チーム以上のエントリーがあったこともある。後藤は「かつての沖縄はチーム数、試合数が今より格段に多かった。ビーチサッカー王国の座を取り戻したい」と意欲をかき立てている。

 オーバーヘッドキックなどアクロバティックなプレーが魅力なビーチサッカー。コートは縦37メートル、横28メートルで、一般的なサッカーコートの7分の1サイズ。砂に足を取られないよう選手らは前傾姿勢でつま先を使って走ることが多い。素早いパス回しで攻守の切り替わりが激しいのが特徴だ。

 沖国大出身の後藤は19歳で日本代表に選出され、エースとして活躍した。所属した沖縄レキオスBSが2009年に東京に拠点を移すと、活躍の場を海外に転じ、名門クラブを渡り歩いた。世界選手権にも3度出場した。「ビーチサッカー人生の最後は沖縄だと決めていた」と沖縄に戻り、FC琉球BSを旗揚げした。

 発足当初は3人からのスタートだった。まずは後藤がかつて所属したブラジルのチームに遠征して士気を高めた。セレクションを経て3月には選手が17人にまで増えた。

 17歳から40代までの選手が所属し、初心者も少なくない。ほとんどが仕事との両立で、北谷町のアラハビーチでの練習は早朝に行っている。荒削りな部分もあるが、その分、伸びしろは大きい。後藤は「まずは走り負けない。技術がない分、皆で守って、皆で攻める。これからまだ長い」と先を見据える。

 チームで後藤を支えるのは宜野湾市出身のGK鮫島大喜(29)。長年、切磋琢磨(せっさたくま)してきた盟友だ。「第5のフィールドプレーヤー」と呼ばれるようにGKは攻撃に参加することも多く、試合展開の鍵を握る。練習では豊富な経験値を生かし積極的に指示を出す。鮫島は「ゲームをつくる役割がある。自分の力でチームを強くしたい」と後藤と共に奮起している。

 Jリーグ傘下のチームのみが出場資格を持つ世界選手権出場が最大の目標だ。現在、該当するのは東京ヴェルディとFC琉球のみ。「世界一を目指す」(後藤)。沖縄から世界の頂を目指す挑戦は始まったばかりだ。

(古川峻)

FC琉球BSのメンバーら(提供)