感染リスクと人員不足… 医療従事者、疲労ピーク 入院200人超、病床計画上回る


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 感染者の急速な拡大で県内の医療提供体制が逼迫(ひっぱく)している。8日時点で入院中の患者は237人に上り、県が新型コロナウイルスの感染第2波に備えて策定した病床確保計画の入院患者推計200人を上回った。病床利用率は118・9%に上っている。病床の逼迫とともに県内の病院では医療従事者への負担が増大し、「感染リスクと人員不足で心身の疲労が重なっている」と窮状を訴える声も上がる。

新型コロナの重症患者を受け入れている浦添総合病院の病室と感染防止対策室の原國政直室長(左手前)(浦添総合病院提供)

 厚生労働省は6月19日、新型コロナの感染第2波に備えた病床確保計画を策定し、各都道府県に医療提供体制の整備を要請した。県は厚労省の通知に基づき、ピーク時の感染者を425人とし、入院患者を200人、宿泊療養を225人と推計。この推計に基づき、感染増加の速度に合わせて段階的に病床を増やす「病床確保計画」を策定した。7月下旬以降、感染が急拡大し、入院患者が増える中、県は計画の段階を上げ、今月2日には最高レベルの「フェーズ4」として各医療機関に最大限の病床確保を依頼した。

 県内21の感染症指定医療機関と協力医療機関は、県の依頼に応じて病床数を8日時点で261床確保している。ただ、入院者には軽症者や無症状者も多く、医療を圧迫する状況は続いている。県は病床を確保するため、2日から一定の条件を満たした無症状者や軽症者を自宅療養に切り替えた。さらに軽症者用の宿泊療養施設や看護師、保健師の確保を急ぐ。

 浦添市の浦添総合病院は重症者を中心に新型コロナ患者を受け入れている。7日現在、16床のうち11床が既に埋まった。全て40代以上の中等症以上の患者だという。感染防止対策室の原國政直室長は、検査態勢の整備で陽性者が増加しているとした上で「若者に感染が増え、1~2週間後に遅れて高齢者が増えてくるのが沖縄の傾向」と指摘する。今後、高齢者の罹患(りかん)が増えることで、重症へ移行する事例の増加も懸念されるといい、「重症者を受け入れる病床も逼迫している。今後の動向に注意していく必要がある」と話す。

 4月から新型コロナ患者を受け入れる県内の医療機関で働く看護師は「コロナ対応は家族への感染リスクを考慮して、独身者や若手の看護師が充てられることが多く、彼らが疲弊している。感染リスクの高い発熱外来、救急外来担当への精神的な負担も大きくなっている」と吐露する。7月からの“第2波”では家庭内感染が増えていることもあり、訪問看護師や介護士の感染事例も増えているという。看護師は「もはやいつどこで感染してもおかしくない。感染リスクと人員不足によるストレスで心身の疲労はピークに達している」とため息をもらした。