保育2施設クラスター「保護者もケア施設へ同伴」困惑も 自宅療養も増える


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 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、9日までに県内の保育施設2カ所でクラスター(感染者集団)が発生した。小さな子どもの場合、保護者や保育士との接触を避けることが困難で、感染対策が難しい。県内で小さな子どもの感染が増加する中、子どもの療養などの際には保護者の付き添いが必要となるケースもあり、突然の事態に困惑の声も上がる。

 「自分は感染していないが、(子どもを)1人にできないので一緒にいないといけない」。県内で感染が確認された保育園児の保護者はこう明かした。県内で感染者が増加する中、コロナ患者の病床利用率は100%を超えて満床状態だ。無症状や軽症の場合、宿泊施設や自宅で療養するケースも増えている。

 県内では那覇市の認可保育園で15人、宜野座村の村立保育所で14人のクラスターが発生した。それ以外にも保育園児の感染者は増えており、低学年の小学生児童を含む10歳未満の感染者は全体の4%となる45人が確認された。このような状況下で、保護者らが園児など小さな子どもに付き添わなければならない事例が出始めている。大人の場合は食事や洗濯なども1人でできるが、小さな子どもの場合は大人の手助けが必要となるためだ。

 県によると保育園児らが感染した場合、高齢者や基礎疾患がある重症化のリスクが高い人が自宅に同居していないか個別に情報収集し、宿泊施設や自宅での療養が可能か判断している。宿泊施設の場合は「親御さんも一緒に入ってもらうことになる」としている。

 日本小児科学会は4月に「小児の新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制に関する見解」を発表した。軽症者は「原則として自宅療養を考慮する」としており、入院する場合も「保護者によるケアは小児の精神的な安定につながり、医療従事者の負担も大きく軽減される」として保護者の付き添いが考慮されるとしている。新型コロナの感染が身近に迫る中、小さな子どもの保護者は付き添いへの身構えも必要とされている。