ネットや地域分散開催の産業まつり コロナ禍に模索続く新たな形式や課題


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沖縄の産業まつりの開催について説明する実行委の古波津昇会長(中央)=11日、那覇市のホテルロイヤルオリオン

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県内の各種イベントが中止となる中、沖縄の産業まつりは中止せず、オンラインと地域分散開催とすることが決まった。開催決定の背景には、産業振興を図るというまつり本来の目的と、産業まつり以降に控えている「離島フェア」や「おきなわ花と食のフェスティバル」などの開催にもつなげたいという県の狙いもある。

 産業まつりの目的は生産者の生産意欲の向上や県産品奨励を通して県の産業振興を図ることだ。年に1度の産業まつりの存在は、県内メーカーの製品開発の動機付けや販路開拓に向けた発表の機会になっており、何らかの形で開催を求める声があった。また、新型コロナの感染拡大で観光客が減少した影響は、県内の製造業にも及ぶ。県産品の県内消費拡大を図ることが製造業を救う鍵でもある。その意味でも今年は例年よりも果たすべき役割は大きい。

 実行委が強調したのは「新しい時代を見据えた産業まつりにしていく」ということだ。

 インターネット上の特設サイトでは各出展業者のサイトやeコマース(電子商取引)にリンクする。eコマース未対応の企業には県のハンズオン支援につなぐ。

 離島県の沖縄にとって、eコマースはコロナ禍だけでなく収束後も県産品の販路拡大につながるため、これを機に取り組みを広げる狙いもある。

 実行委の古波津昇会長は「産業まつりを中止したら全部中止しないといけないという空気があった」と明かし、今後の産業イベントへの影響も考慮した決定だった。産業まつりの成否は、イベント開催の在り方でモデルケースの一つとなる可能性がある。

 オンライン、分散開催には課題も山積する。インターネットを使うのが難しい高齢者への対応をどうするのか。分散開催といっても人が集まることは避けられず、感染拡大防止策の徹底も求められる。
 (玉城江梨子)