新型コロナウイルス感染拡大防止のため、県が那覇市松山地区の接待を伴う遊興施設に求めていた休業要請と、那覇市内の飲食店を対象に求めた時短営業要請が、15日までで終了した。16日以降、那覇市内の飲食店や遊興施設は通常営業を再開した店舗もあったが、緊急事態宣言の延長によって県は県民に午後10時以降の外出自粛を要請しているため、引き続き休業や営業時間の短縮を続ける事業者も多く見られた。
那覇市内の事業者らによると、県の緊急事態宣言を受けて地元客が減少傾向にある。那覇市の第一牧志公設市場の店舗からは「旧盆前なのに注文数が明らかに少ない。客が戻るのか心配だ」と現状を嘆く声が聞かれた。一方で、県内客に安心して訪れてもらおうと、新たなサービスを始める事業者もいる。
■旧盆に向けて
17日午後、第一牧志公設市場に買い物客の姿は少なく、閑散としていた。市場内の「平田漬物店」で働く玉城文也さんによると、県外でお盆休みに入った13~16日の期間中、観光客は例年と比べて激減した。商品を卸していた飲食店の中には営業自粛を継続する店も多く、小売り、卸売りの二重で売り上げ減少する打撃を受けている。
玉城さんは「旧盆前は市場が活気づくが、ここまで客が少ないのは初めてだ」と、31日からの旧盆の客足を懸念する。
一方、同市場組合は旧盆シーズンに合わせて、23日から近隣の駐車場を借り、県内客が利用できるよう準備を進める。コロナ感染を心配する客に対しては、注文を受けた商品を店舗から車両まで運ぶサービスも開始する考えだ。
組合の美里豪輝精肉部長は「安心して買い物ができる環境を用意しているので、旧盆の買い物に市場を訪れてほしい」と語った。
■月末まで休業も
那覇市安里の栄町市場にある居酒屋「なかま商店」は15日まで、県からの時短営業の要請を受けて閉店時間を2時間早め、午後10時までの営業としてきた。要請期間が終了したため、17日以降は客が訪れた場合、午後10時以降でも営業を続ける考えだ。
感染症の拡大を受け、店舗内のカウンターには仕切りを作り、他の客と接触しないよう対策を万全にしている。店主の奥山一郎さんは「営業をしないと生活はできない。安全対策に気を付けて営業をしていきたい」と語った。
一方、居酒屋チェーンは県内需要が戻らないことを見込み、8月末まで時短や営業自粛を続ける構えだ。海援隊沖縄は、県内の9店舗全店について、8月末まで午後10時までの時短営業を継続する。担当者は「午後10時以降店を開けても(売り上げの)見込みがない」と話した。
居酒屋のちぬまんグループは、7月に営業を再開していたが、感染の拡大を受けて8月2日以降全店舗で臨時休業している。
運営する沖縄観光開発の与那和正専務は「観光客が多い(お盆の)期間だけでも店を開けようかと考えたが、雇用調整助成金の対象外になる恐れがあったので休業を続けた。今の状況だと(緊急事態宣言の期限の)29日までは様子を見ないといけないかもしれない」と話した。
(池田哲平、沖田有吾)