コロナ医療「ベッドあっても看護師不足」 中部病院・椎木医師、宣言解除の「跳ね返り」懸念


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新型コロナウイルスへの感染対策を呼び掛ける県立中部病院の椎木創一医師=8月21日

 沖縄県内の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、医療提供体制は逼迫(ひっぱく)した状態が続いている。軽症から重症患者まで受け入れている県立中部病院で感染症対策を統括する椎木創一医師は「ベッドはあっても看護師をどう確保するか、それが患者受け入れを制限している」と、看護師不足が課題になっていると話す。

 県立中部病院は病棟の一つを新型コロナ専用とし、ほかの病棟にもコロナ患者のエリアを設置。入院患者は集中治療室に1人、中等症から軽症を含め計約25人程度。一般の病棟を一部閉鎖し、看護師にコロナ病棟に移ってもらうなどしているが、これ以上の患者受け入れは、看護する人員の不足で難しい状況だという。

 毎日、同院の敷地内にある検査センターで30人以上のPCR検査を実施。数が膨大になり、担当医師に加え、看護師や専門外の医師も協力し合う体制で「どうにか回っている」という。

 4月の流行時と比べ改善した点もある。物資は第1波の後に十分な量を確保した。特効薬はないが、使える薬をタイミングを合わせて使い、中等症の悪化を防げているという。同院では院内感染は起きていないが、椎木医師は「患者が急激に増えると院内感染対策のほころびが起こりやすい」とも指摘する。

 県独自に出した緊急事態宣言が29日に期限を迎える。椎木医師は宣言解除による跳ね返りを懸念する。県の取るべき対策について「このウイルスは人の移動に従って必ず増える。どれだけ上手にブレーキをかけられるかだ」と話す。医療、地域社会、学校などさまざまな分野の人が知恵を絞り、バランスをとって対策を進めることが重要だと強調する。

 感染者に対する偏見や差別も起きている。椎木医師は「人との心の距離を近くし、感染者をサポートする社会に生まれ変わっていけるかだ」と話す。そのためには感染を自分事と捉え、手洗いをし、健康状態が悪かったら休むなど「当たり前のことを当たり前にやることが一番難しいが大事。誰でも感染対策のプロになればウイルスに負けない社会になる」と強調した。