那覇空港の第2滑走路、沖縄振興策なのに「基地負担減」とすりかえ 自民総裁選出馬の菅氏 不正確発言を連発


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菅義偉官房長官

 【東京】菅義偉官房長官が2日開いた自民党総裁選出馬会見での沖縄についての発言は、基地負担軽減へこれまで担当相として自身が取り組んできた“成果”をアピールする言葉と自信であふれた。だがその中では、辺野古新基地建設に至る経緯について不正確な発言や、基地負担軽減策に「那覇空港の第2滑走路増設」と沖縄振興を掲げるなど我田引水ぶりも目立った。

 菅氏が地方への情熱を強調したのに対し、中国新聞の記者が「基地問題で沖縄への情熱があったのか疑問だ」と指摘され、菅氏は沖縄基地負担軽減担当相としての7年8カ月を強調した。さらに東京新聞の記者が「長官の言う『地方』に沖縄は入っていないのか」と問うと、即座に「もちろん入っています」とやや気色ばんだように返した。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画については「地元の市長、県知事とも合意した」と従来の見解を改めて披露した。

 だがこの発言内容は正確ではない。当時の稲嶺恵一知事は「軍民共用化」と「15年使用期限設定」の条件付きで合意し、閣議決定された。その後、この条件は外され新たな閣議決定がなされて現在に至る。菅氏の発言は、現在の辺野古移設が沖縄側の合意に基づき進めているという誤解を与える内容で、以前も指摘されている。

 また「(沖縄の)基地負担軽減担当相になって始めたのが(那覇空港の)第2滑走路の建設だ」とアピールした。だが那覇空港滑走路増設事業は、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太方針2019)で「日本経済再生のけん引役」となるよう進める「沖縄の振興」の一つとして位置付けており、沖縄振興を基地負担軽減と関連付ける強引さも目立った。