ドローン規制、基地取材に事前同意の壁 迅速取材と報道に足かせ


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普天間飛行場移設に伴う新基地建設の現場=6月

 テロ防止などを理由に沖縄県内の米軍基地やその周辺で小型無人機(ドローン)による飛行が原則禁止されたことで、新基地建設の状況や基地被害の実態に迫る取材活動が制限されることになる。ドローンを飛ばすには30日前までに各基地司令官の同意を得る必要があり、取材を拒否されたり迅速な取材ができなくなったりする可能性がある。施設内で基地機能が強化されていたとしても、監視の目が届かず明らかにしにくくなる恐れがある。

 権力を監視する役割を持つ報道機関の取材の可否を、監視対象である基地側の裁量に委ねてしまうという問題もある。日ごろから一部の報道機関の質問に答えず、メディア選別を繰り返してきた米軍が取材の可否を握ることになる。国民の「知る権利」に応える役割を報道機関が果たせるか、疑問視する声もある。

 報道関係者は、名護市辺野古の新基地建設が強行されるキャンプ・シュワブ沿岸部では工事現場に近寄って撮影し、海が埋め立てられていく様子を伝えてきた。県に約束していた内容と異なる工事を実施していないかなど、違法性の有無も調べてきた。今回の指定は、そうした監視の目をふさぐことになる。

 同じく飛行禁止に指定されたキャンプ・ハンセンでは米軍の実弾射撃訓練による山火事が頻繁に起こる。演習場は山深い所にあり、火災が発生しても人目に触れないことが多い。ドローンを使えば、自然環境の破壊状況を報じることができた。

 防衛省は今後、規制対象を拡大していく方針を示しており、他の基地取材も妨げられる恐れがある。

 自衛隊基地も規制対象に追加された場合は10営業日までに基地管理者の同意を得る必要がある。