船舶に次世代バイオ燃料 石垣島で試験航行を実施


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次世代バイオディーゼル燃料が入った容器を手にするユーグレナの中野良平執行役員(左から2人目)と八重山観光フェリーの大松宏昭社長(同3人目)ら=10日、ユーグレナ石垣港離島ターミナル

 【石垣】ミドリムシを使った商品開発を手掛けるユーグレナ(東京都、出雲充社長)は10日、「次世代バイオディーゼル燃料」を使用した船舶の試験航行を石垣島で実施した。燃料はユーグレナが石垣島で生産するミドリムシと使用済み食用油を原料としており、船舶への導入は初めて。取り組みに賛同する八重山観光フェリー(石垣市、大松宏昭社長)が協力した。

 燃料は、海運業界で国際的な濃度規制のある硫黄酸化物を含んでいないほか、燃焼段階で温室効果ガスを発生させない。既存のディーゼル燃料との混合も可能で、船舶の既存設備を変えることなく使用できる。今後も試験航行などを重ね、本格導入を目指していく。

 ユーグレナはバイオ燃料事業の促進に取り組んでおり、2018年10月に実証プラントが完成。20年3月から神奈川県で同社のバイオディーゼル燃料を使用したバスが運行している。

 バイオジェット燃料と合わせて生産可能量が実証プラントの2千倍となる商業プラントを25年中に稼働させることを計画している。供給価格の低減や需要量の把握を進め、陸・海・空での燃料として本格導入させたい考えだ。

 10日にユーグレナ石垣港離島ターミナルで開かれた出港式で、ユーグレナの中野良平執行役員は「船舶業界でも、環境に配慮した燃料の普及拡大に努めたい。今回はその一歩となる」とあいさつした。八重山観光フェリーの大松社長は「環境問題がクローズアップされる中、取り組みに携われてうれしい。実用化に向け前向きに取り組みたい」と述べた。