琉球の歩み伝える「正史」一挙公開 全25冊、沖縄県立博物館 国の重要文化財指定記念


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国の重要文化財指定を記念して展示されている「中山世鑑」「蔡鐸本中山世譜」「蔡温本中山世譜」=15日午後、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館

 沖縄県立博物館・美術館は、琉球の正史である「中山世鑑(ちゅうざんせいかん)」全6冊と「蔡鐸本中山世譜(さいたくぼんちゅうざんせいふ)」全7冊、「蔡温本中山世譜(さいおんぼんちゅうざんせいふ)」全12冊の展示・公開を15日、博物館常設展の歴史部門展示室で始めた。11月8日まで。3点がまとめて国の重要文化財に指定されることを記念した展示。3点とも同館が所蔵しているが、全25冊を一挙に展示・公開した例は少なく、貴重な機会となる。

 「中山世鑑」は向象賢(しょうじょうけん)(羽地朝秀)が1650年に編さんした琉球最初の正史。「中山世譜」は2種類ある。蔡鐸が1697年から1701年にかけて「中山世鑑」を漢訳し、さらに増補したのが蔡鐸本。蔡温本は、蔡鐸の息子・蔡温が中国側の記録も踏まえ、1725年に再編した。

 琉球国王の系図や歴史など貴重な記録に加え、豪華な装丁も見どころの一つ。

 主任学芸員(歴史)の崎原恭子さんは「琉球の歩みを伝える柱の資料である『中山世鑑』『中山世譜』を一堂に見ることができる絶好の機会。たくさんの人に来てほしい」と来場を呼び掛けた。

 展示に関連し「琉球の正史」をテーマにした講座が10月18日午前9時半から同11時半まで同館講堂で開かれる。講師は田名真之館長。定員は100人。参加には事前申し込みが必要。問い合わせは同館(電話)098(941)8200。