ウェブで「南風原町綱ひきツアー」 各字の独自色、画像で体感


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ウェブ版「南風原町綱ひきツアー」

 新型コロナウイルス感染症の影響でほとんどの伝統行事が縮小、中止している状況を受けて、南風原町観光協会が公式サイトで、町内の綱引きを巡る「南風原町綱ひきツアー」を公開している。同協会では例年、旧暦6月25、26日に各字の綱引きを見て回るツアーを開催しているが、コロナ禍にある今年は中止になった。そのため、ネット上で九つの字の綱引きを画像で紹介することにした。「来年はきっと、みんなで一緒に綱を作り、力いっぱい綱を引けますように」との願いを込めている。

 同町には、約650年の歴史を誇る津嘉山の綱引きや、荒々しさから「ケンカ綱」と呼ばれる喜屋武の綱引きなど、各字独特の綱引きが継承されている。開催の時間帯が絶妙にずれているため、例年開催される「綱ひきツアー」はいくつかの字を回ることができ、各字の伝統を体感できると人気を集めている。

ウェブ版「南風原町綱ひきツアー」の制作などを担当した南風原町観光協会の大城翔太さん=町観光協会

 今年5月、コロナの影響で南風原町観光協会は総会を開催できなかった。「この様子だと、綱作りすらできないのではないか」。歴史があるからこそ、多くの自治会が直前まで決断を下せなかったという。「それならネット上で、各字の特徴を押さえながら紹介しよう」と話が進み、今月9日に公開された。

 企画の担当者で、町観光協会事務局次長の大城翔太さん(30)は、照屋区の出身。8~9年前から同自治会で棒術を練習、披露している。「伝統行事は地域のつながりを深め、活力となる。地域住民同士で一体感を味わえる大切な時間だ」と話し、「今年は神事のみとなってとても寂しい」とつぶやいた。「きっと来年は、またみんなで綱を引けるはず。来年を楽しみに、今年はこのサイトを見て、改めて伝統行事の意義や魅力を感じてほしい」と力を込めた。
 (嘉数陽)

https://www.haebaru-kankou.jp/index.php/news/announcement/888-tsunahikitua.html