
新型コロナウイルス感染症の影響で多くの飲食店が苦境に立たされている中、那覇市田原の韓国料理店「オッパキンパ」は、LINE(ライン)の注文用アプリを活用したテークアウト専門の営業形態に切り替え、売り上げを回復している。
オッパキンパは、新型コロナの感染が広がった4月中旬に、換気が難しい建物の形状などから思い切って店内飲食を休止し、テークアウトのみの営業に切り替えた。当初は電話での注文や問い合わせが多く、人手を取られたという。
店主の朴鎭晟(パクジンソン)さんと妻の長濱夕子さんは、以前からホームページの制作などで付き合いのあったウェブ制作のMOOQ(ムーク、豊見城市)の結城朗さんに、注文アプリの開発を依頼。結城さんは、利用者の多いラインを活用して「boord」を開発した。
特徴は客、店双方に使いやすいことだ。客は画面上に表示されるメニューの写真や価格などを見ながら、受け取りの時間を設定して注文する。店内のタブレット端末が音で受注を知らせ、客が受け取りに来店した時に支払いをする。
店側からのクーポン配信や売り切れ情報の通知なども、シンプルな操作で可能だ。結城さんは「店側の負担を増やさず、いかに利益を上げるかを考えて開発した」と話す。
日頃から使っているラインと同様の操作で注文できるため、客側のストレスも少ないという。
今ではアプリを使った注文が7~8割を占め、8月は総注文数396件、売り上げは109万円を記録した。5月末に沖縄テレビの人気番組「アゲアゲめし」で紹介されたこともあって、ラインアカウントの友達数は2600人を超えて伸び続けている。
麺ののびにくい冷麺を新たに開発するなど、テークアウトメニューの開発にも余念がない。長濱さんは「電話口で料理の説明をするだけで20分くらいかかることもあったが、ぐっと楽になった。もっと早く入れれば良かった」と話す。
「boord」はオッパキンパの他にも10店舗程度の飲食店で導入準備が進んでいる。結城さんは「店の作業をシンプルにできる。多くの飲食店が導入してほしい」と話した。