20年度に赤字見通し企業、前年度の2倍 日銀那覇支店が短観


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 日本銀行那覇支店(桑原康二支店長)は1日、7~9月期の県内企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は全産業でマイナス32となり、前回調査から3ポイント改善したものの過去2番目に低い値となった。

 2020年度の売上高計画は前年度比12.2%の減少、経常利益計画は同55%減少。減少幅はともに記録の残る1986年度以来最大となった。20年度の収益が赤字になると回答した企業は、19年度に比べ約2倍に増えたという。

 全産業DIは、前回調査から2回連続で全国平均を下回った。「さほど良くない」と答えた企業が39%から46%に増加し、「良い」と答えた企業は13%から11%に減少した。今後は多くの業種で改善を見込み、先行きのDIは6ポイント改善のマイナス26を見込む。桑原支店長は「経済活動は底を打ってはいるが、回復は緩やかな状態が続いている」と指摘した。

 業種別では、企業の収益悪化による広告宣伝費の減少などで情報通信業は前回比24ポイント悪化のマイナス37、ホテルのリネン業など対事業所サービスが同20ポイント悪化しマイナス60だった。

 ステイホームに伴う需要増を受けて、食料品製造などの製造業や家電などの小売り、電子商取引(EC)の活発化による物流需要増加で運輸・郵便は前回調査より改善したが、依然マイナスが続いている。

 設備投資計画は前年度比マイナス8・2%となった。バス、タクシーの更新やホテル客室の改装を先送りするなど、投資を中止、縮小、先送りする事例が増加。一方で、ECサイトの開設、拡充やホテルの省人化、テレワーク向けの環境整備などコロナ禍に対応するための新規投資に取り組む企業も増えているという。