新型コロナウイルスの影響で来館者が激減した「不屈館」(那覇市若狭)を支援するクラウドファンディングが2日、目標額の800万円を突破した。県内外の800人超の人から支援が寄せられ、内村千尋館長は「感謝の言葉が見つからない」。今後はグッズ開発や通信販売、SNSでの情報発信にも力を入れ、コロナ禍の難局に「不屈」の精神で立ち向かう。
同館は2013年に開館し、米統治下で圧政と闘った瀬長亀次郎さんが残した資料などを展示している。行政からの援助は受けず、会費やグッズの売り上げなどで運営しているが、コロナ禍が直撃。団体客の予約が全てキャンセルとなり、5月の入館者は前年の5%まで激減した。
家賃や人件費などで月100万円の維持費がかかる。「このままでは閉館せざるを得ない」(内村館長)との状況の中、クラウドファンディングを6月22日に始めた。1カ月で目標の500万円を突破し、新たな目標を800万円に設定していた。
支援者の8割が県外在住で、「コロナが落ち着いたら行きます」「末永い存続を願っています」などのメッセージが寄せられている。内村館長は「多くの人の支援を受けて『また頑張ろう』と元気が出た」。県民からも直接、寄付が寄せられており、運営の支えになっているという。同館は新素材のクリアファイルやTシャツなど新商品を開発し、9月からは通信販売も始めている。内村館長は「民衆の資料は民衆が守る。皆さんの気持ちに応えられるよう取り組みたい」と話した。
クラウドファンディングは2日午後8時現在、801人が支援し、約815万円が集まっている。19日まで継続中で、クラウドファンディングサイト「A―port」で「不屈館」と検索すれば掲載ページが見られる。
(真崎裕史通信員)