ディープフェイクと人権意識 モバイルプリンスの知っとくto得トーク[180]


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モバイルプリンス

 

「ディープフェイク」【※1】の技術を使い、ポルノビデオの出演者と芸能人の顔をすり替えた動画をインターネット上にアップしたとして、男3人が名誉毀損で逮捕されました。

ディープフェイク動画での逮捕は全国初となります。

逮捕された男たちは作成したポルノビデオをネット上で販売していたとのことです。

 

※1 ディープフェイク … AIを使い、高度な合成画像・動画を作る技術。すり替える人の顔のデータを大量に取り込み、そのデータを基にフェイク動画を作成します。今後技術が進化すると、人間の目では見破られないディープフェイク動画も出てきます。なお、ディープフェイクを見破るAIも開発されていますが、「AIでも見破られないディープフェイク」が登場し、イタチごっこになることが予想されます。

 

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現在、本物と見分けがつかないディープフェイク動画を作るには高性能のパソコンが必要ですが、そう遠くない未来、スマホアプリで手軽にディープフェイク動画を作成できるようになるでしょう。

そうなると、自分がディープフェイク動画の被害に遭う、あるいは軽い気持ちで作成した動画で誰かを傷つけることが起こり得るでしょう。

今から、ディープフェイクについて知っておく必要があります。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

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ディープフェイク技術で作られたポルノ動画に関して、「本人の本物の裸ではないから良いじゃないの」とかばう意見の人も見受けられます。

しかし本人が同意をせずに本物と見分けがつかない裸の動画を作成されることは、その人の尊厳を奪うことになります。だから名誉毀損が成立するのです。

ディープフェイク動画の問題は、進化しすぎたデジタル技術の問題である一方、私たちの人権意識の問題でもあるのです。

ポルノに限らず、スマホアプリで簡単に画像の加工・編集ができますが、それによって誰かの尊厳を傷つけていないか、しっかり考える必要があります。

 

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

http://smartphoneokoku.net/