沖縄県道62号小禄名嘉地線の都市計画道路事業で土地の一部提供に応じないとして、県は7日、那覇市宇栄原の県道62号沿いのアパートで、土地収用法に基づく行政代執行を実施した。
県街路課によると、県の道路関係事業で過去20年間に行政代執行は確認されておらず、極めてまれ。同事業はこの土地の歩道拡幅整備だけが未完了で、県は本年度内の整備完了を目指す。
行政代執行の対象は、道路に面した38・81平方メートルの土地で、駐車場として利用されていた。土間コンクリートやブロック塀などの工作物が撤去された。
県道路街路課によると、この土地は1988年ごろに地権者が建物を建てる前の56年から都市計画道路の予定地に定められていたという。小禄名嘉地線の事業着手は2002年で、右折帯の設置による渋滞緩和や歩行者の安全確保のため、歩道の拡幅工事などが行われてきた。
県用地課によると、県は13年度から土地所有者と交渉を始めたが、地権者の同意は得られず、県は土地収用が見込めないと判断した。県土地収用委員会が20年3月12日に裁決し、5月11日の明け渡し期限を過ぎても対象物の撤去に応じないことから、県は7月21日付で知事に対し、行政代執行を請求した。
同課によると、地権者は県が提示した土地単価への不満と土地収用に伴い、駐車場がなくなることによる財産価値の低下や入居者の退去を懸念し、土地の提供を拒んでいたという。
県は地権者が失う土地や撤去物の移転に伴う費用などを補償する。