任命拒否問題の本質とは 岡田早大教授に聞く 政権批判の排除、見せしめ効果も


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日本学術会議任命拒否問題の本質について語る、岡田正則早稲田大教授=13日、早稲田大学

 岡田正則早稲田大教授の一問一答は次の通り。

―今回6人が名簿から外された意味は。

 「学術会議法は、学術会議が選考、決定した推薦名簿に基づいて首相は任命すると定めている。『選考、決定』は学術会議の権限で首相は形式的に任命するだけだ。総理大臣を国会が選び天皇が任命するとき、任命してもしなくても天皇の自由だ、とは言えない。事務を確かに取り扱いましたということを確認するための確認行為だ。任命権があるから選べるとは法制度上言えない。学術会議は選べない任命だ。明らかに法律違反だ」

―外された人たちは政府の政策や方針に異を唱えてきた。政権批判を言う人は外しておけという判断が働いたかと推測してしまう。

 「まさしくそういう推測を一般市民の側にさせようというのが狙いだろう。ひどい目に遭うかもしれないから、政府批判と受け取られるようなことは自分はやらないようにしよう、という状態を、心を支配してつくり出そうということだ」

―だからあえて明確に理由を説明せず、自粛させる効果を生むのか。

 「そうだ。見せしめにして『理由は説明しない、自分で考えろ』ということだ。批判したから採用しなかったわけではないが、何か分からないので、自分から危ないことはやめとけ、となるようなやり方だ」

―辺野古新基地建設から、沖縄に対する政権の姿勢はどう見えるか。

 「恐怖政治で人を支配する。沖縄を痛めつけて民意は聞かない、それでも盾突く者は徹底的に排除する、こういうことで恐怖心を植え付けようということなのだろう。民意なんて取るに足らないので下手な意思表示をするなというシグナルを、沖縄を通じて今まで出してきた。住民投票をやろうが知事が何を言おうが、そんなものは蹴散らせるんだと。その上で、さらに言うならもっとひどい目に遭うぞと、他の都道府県に見せしめにして従わせようとしている。地方自治なんて建前で国が支配するんだというやり方だ。任命拒否問題も見せしめで同じだ」

 (聞き手 滝本匠)