沖縄の産業まつり オンライン初開催 短期間で準備評価 情報発信課題山積 電子商取引の契機に


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 初のオンライン開催と地域分散開催となった第44回沖縄の産業まつり。オンラインには315社が出展したが、自社サイトへの流入や売り上げが伸びたという事業者は少なかった。約1カ月半という短期間でポータルサイトを構築しオンライン開催にこぎつけたことは評価する声が多い一方で、次年度以降のオンライン発信は課題が山積する。

■突貫工事

 「産業まつりに合わせて割引をしたが、売り上げはいつもと変わらなかった。リンクを貼っただけでは売れない」。オンライン出展した事業者は漏らす。

 サイトは仮想の会場に見立て、入っていくと企業や団体名があり、クリックするとそれぞれの企業のサイトに飛ぶという作り。24、25日はサイトから県内の芸人らが出演する生番組を配信した。サイトを構築した沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)の担当者は「ユーチューブで商品を紹介し、ポータルサイトから即購入できれば理想的だったが時間がなかった」と明かす。サイト構築と同時に出展業者募集もしていたため、決済機能を付けることや、県産品の魅力を伝えるためのコンテンツ作りまではできなかった。

 産業まつり事務局を務めた県工業連合会は「1カ月半の突貫工事では足りないところだらけだ」と認める。「県内はEC(電子商取引)への取り組みが遅れている。今年はそれに取り組むきっかけづくりだ」と位置付ける。

■類似するサイト

 出展者からは「県民はネットで県産品を買おうとは思わない。ターゲットは県外なのに、どこまでPRできていたのか」と疑問の声も上がる。別の出展者は「県産品を売るために、新たにポータルサイトを構築する必要があったのか」と指摘する。

 県が9月にオープンしたサイト「まいにちに。おきなわ」では、新型コロナウイルスで打撃を受ける事業者を支援するため、飲食店や県産品、宿泊などをまとめている。構築、運用を受託しているISCOの担当者は「目的が同じ二つのサイトのすりあわせが必要。オンラインの可能性は無限大だ。県がどんな方向性で県産品をオンラインで売っていくのか、既成概念にとらわれずゼロベースで考える必要がある」と話す。県ものづくり振興課は「今後、産業まつりサイトの実績や効果を踏まえて、両サイトの統合や役割分担を検討していくことになる」と話した。 (玉城江梨子)