首里城火災から1年を迎えるのを前に、女優の国仲涼子さん(41)が31日までに本紙のインタビューに応じた。那覇市出身の国仲さんにとって首里城周辺は小学生の頃の「遊び場」で、女優として躍進する足がかりをつかんだNHK朝ドラ「ちゅらさん」の舞台になった場所でもあった。人生の節目を彩った風景を無くし、「大きな喪失感があった」という。それでも、「いつか県民みんなが笑える日がくる」と再建に向けて前を見据えている。
小学生、ゆんたくのためバスに乗り
Q:首里城との思い出を聞かせてください
A:お城の近くにある龍潭。あそこは、小学生の頃の遊び場だったんです。放課後、特に仲良しだった3人組で、スナック菓子を持ってよく行ってましたね
Q:学校は首里城の近くでしたか
A:いえいえ、実はちょっと離れていて。私は(那覇市)繁多川が実家だったんですが、小学校もその近くでした。だから龍潭に行くためにわざわざバスに乗っていましたよ
Q:どんな時間を
A:お菓子を食べて、ゆんたくして、暗くなったら帰る、みたいな。今思うと、何であんなに通っていたのかなって思いますね。本当に他愛もない時間を過ごしていましたが、私にとってはそれが原風景です
「ちゅらさん」撮影で美しさ発見
Q:出世作の「ちゅらさん」の舞台にもなった
A:撮影は20歳の時でした。高校を卒業し、19歳で上京した直後です。(役柄の舞台となった)古波蔵家は首里城の目と鼻の先。ほっとできる場所に戻ってきたはずなのに、そうはならなかったですね
Q:気が張っていた
A:仕事モードというか、目の前の課題に無我夢中で実家にも帰らなかった。ただ、(復元された)首里城をじっくり見たのはその時が最初なんです
Q:どんな印象を
A:こんな素晴らしい造りだったんだって。龍柱の彫刻の繊細さ、首里城を象徴する朱色の美しさ。なんでもっと早く気がつかなったんだろうと思いましたね。あるのが当たり前過ぎて、詳しく知ろうと思わなかったんですね
悲しむだけが沖縄の人じゃない
Q:火災を知ったのは
A:テレビで。でもすぐには信じられなかった。ニュースで燃える首里城の映像を見てましたが、実感がわかないんですよね。嘘でしょって
Q:火災後、現地には?
A:年が明けて2月にお仕事で。焼け跡を目の前にすると、言葉が出なかった。まるでそこにあったことが夢のようで。あるのが当たり前で無くなるなんて想像すらしていなかったから、喪失感が大きかった
Q:火災から1年。再建の話も進みつつある
A:悲しむだけが沖縄の人じゃない。いくらつらいこと、悲しいことがあっても何度も跳ね返してきた歴史がありますから
Q:再建に向けた県民の機運も早くから盛り上がった
A:さすが沖縄だと思いましたね。強さを感じました。首里城は私にとって思い出の場所。私がそうだったように、早く県民みんなが思い出を作れるような場所として戻ってきてほしいですね
Q:新しい首里城は
A:再建の形がどういうものになるかは想像もできません。ただ、首里城を取り戻した時の県民みんなの笑顔は思い浮かぶんです。早く本当の笑顔が見たいですね