バイデン氏勝利に米軍基地が集中する沖縄県民の反応は? 米大統領選


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 大激戦となった米大統領選は、バイデン前副大統領が勝利した。ただ、トランプ陣営はいまだ勝利を疑わず、混乱も予想される。米軍基地が集中する沖縄でも県民の関心は高く、バイデン氏を支持する若者や市民運動の参加者らには期待も広がる。一方で、沖縄は今後も日米安保条約に縛られたままだと危惧する声も上がる。

 名護市の上野郁子さん(66)は、大統領選の開票作業が混乱したことに「米国は世界の民主主義の代表のように振る舞ってきただけに、驚いている」と語る。「こうした国に日本は追従し、同盟を組むのはまずいのではないか」と指摘した。バイデン氏が大統領に就任しても「今のままでは、米国の沖縄に対する態度は変わらない」と見る。一方で「バイデン氏を支えている若い人々や市民運動が、その態度を変えるきっかけになるかもしれない」との期待もある。

 那覇市の会社員、真栄里一青さん(24)は米大統領が世界的に影響力があることから「バイデンさんに期待することは差別問題を解決することだ。人種やセクシャリティに関係なく、平等な社会をつくってほしい」と願った。

 会社員の新崎仁雄さん(29)=那覇市=は「中国に対しては少なくともトランプさんよりは融和的な政策を取るのでは」と話し、沖縄への影響も考えられる米中対立が解消に向かうことを望んだ。米社会の人種差別問題が根深いことから、大統領が代わったとしても「差別問題を解決することは難しい課題だと思う」と語った。

 沖縄市平和ガイドネットワークの森根昇さん(79)=うるま市=は「米国のトップが代わっても、沖縄が日米安保条約で縛られていることに変わりはない」と冷静に受け止める。バイデン政権に対して「どの政権だろうと、望むのは当然のごとく『民意の尊重』ということのみだ」と強調した。