大学に派手なキッチンカー、学生の心つかむ コロナで学食撤退「苦肉の策」が思わぬ効果


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キッチンカーでハンバーガーを購入する学生=17日、西原町翁長の沖縄キリスト教学院大学

 沖縄キリスト教学院大学・同短大=西原町翁長=の中庭に、10月からキッチンカーが登場している。同大は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためリモート講義を取り入れたが、大学に学生が来なくなったことで学食の業者が撤退していた。最寄りのコンビニは徒歩では遠く、昼食の確保に困る学生が出ていた。大学が窮余の一策として講じた手段だが、キッチンカーと学生の相性は思いの外よく、ウィン・ウィンの関係を築いている。

 見た目も「おしゃれ」

 キッチンカーの営業は火、木の週2回。17日はステーキやハンバーガーなど4業者のキッチンカーが中庭に並んだ。昼休みが始まる午後0時10分になると、学生がぞろぞろと教室から出てきて、キッチンカーの前に行列を作った。

 学生は多彩なメニューから好みを選び、中庭のベンチや教室で昼食を楽しんだ。カラフルなキッチンカーの外装をバックに記念撮影する学生もいた。

 1年生の宮城咲来さん(18)は「毎回買ってしまう。おしゃれだし、インスタ映えする」と満足げだ。宮城さんらによると、隣町の宜野湾市にある沖縄国際大学の学生もキッチンカーを目当てに訪れるという。

 キッチンカーの派手な見た目や特別感も、学生が好む要素のようだ。

キッチンカーの行列に並ぶ学生

 モデルケース

 学内に弁当を卸し、学食も担っていた業者の撤退は9月末。学内で食事が確保できない事態に陥った。大学側が喫緊の課題ととらえ、付き合いのあった沖縄銀行坂田支店に相談したところ、キッチンカーの業者を紹介された。

 10月は週1回、キッチンカーが訪れていた。学生に好評だったため、11月から週2回に増やした。導入に奔走した同大総務課の仲間末美課長は「お祭りのような特別な雰囲気が良かったのかもしれない」と、予想を超える人気ぶりを喜ぶ。

 キッチンカー業者のとりまとめ役となっているトータル・フード・プランナーの田村香正代表は「業者にとってもうれしい試みだった。まだほかの大学ではやっていないので、モデルケースになると期待している」と話した。