宮古島の市長選は事実上の一騎打ち 4年前の分裂の行方は?


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 来年1月17日投開票の宮古島市長選に向け、玉城県政を支持する「オール沖縄」勢力と、市政刷新を目指す一部保守による「市政刷新会議」統一候補として前県議の座喜味一幸氏(70)が出馬することが決まった。投開票まで2カ月を切り、現職の下地敏彦氏(74)と事実上の一騎打ちとなる。「オール沖縄」関係者は「4年前の市長選のしこりをようやく乗り越え、市政奪還に向け『オール宮古』が生まれた」と胸を張る。(佐野真慈、吉田健一)

座喜味一幸氏

 16日午後、市平良の自宅で報道陣を前に元県議の奥平一夫氏は「腹六分四分で大同団結するしかない。市政奪還に向けた千載一遇のチャンスだ」と熱弁を振るった。宮古島の革新勢力は4年前の市長選で分裂して以来、奥平氏支持者と県政策参与の亀浜玲子氏支持者の“冷戦状態”が続いていた。「連携」「結集」「団結」など言葉を換えながら「教訓を生かして目標のためにまとまらなければならない」と繰り返した。

 保革一本化に向けた協議は6月の県議選後に本格化した。現職が推した自民新人が最多得票の約9千票を獲得した半面、「オール沖縄」は約7600票、反現職を訴えた座喜味氏が約5千票を取った。「市政奪還のためには共闘が不可欠だと互いに認識した」(保守系関係者)。両者は玉城県政と連携すること、陸上自衛隊問題についても知事と連携し国に説明を求めていくことなどを条件に、10月には一本化を確認した。だが「オール沖縄」内部でまとまらない状況が続いた。

 保守系擁立を目指す国仲昌二県議と、革新の島尻誠市議を推す亀浜氏とで意見が対立し、保守側から「革新でまとまれないなら一本化も何もない」との声が漏れるなど決裂もささやかれた。

 島尻氏は「4年前の再来は避ける」と座喜味氏を訪ねて意見交換を重ねた。「農業を始めとした1次産業振興と誰一人取り残さない市政運営」など政策の一致点を見いだし「座喜味さんでまとまれるなら出ない。最大の目標は市政刷新だ」とし、立候補を辞退することを決断。さらに、最終盤には知事後援会幹部が亀浜氏の説得に乗り出したことも奏功し、分裂回避に成功した。17日に座喜味氏擁立でまとまった。「オール沖縄」関係者は「難産の子は育つという。後は市政奪還に向けて一丸となって戦うだけだ」と強調した。

 一方、現職の下地敏彦氏は16日に市内に選挙事務所を設置した。自民県連や市内建設業、経済界から推薦を受けるなど組織固めを着々と進める。陣営関係者は「嫌な相手になった」と警戒するも、座喜味氏が県議時代に自民会派に所属し、「オール沖縄」や翁長、玉城県政と対立してきた点を挙げ「言葉で一本化と言うのは簡単だが、革新の支持者全てが座喜味さんで納得できるとは思えない」と自信をのぞかせた。