中国市場、ネット中継で狙え! 県産品「ライブコマース」沖縄そばなど好評


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県産品をネット中継で販売する中国インフルエンサーの林萍(リン・ピン)さん=14日、北谷町(本人提供)

 リアルタイムで映像を配信しながら商品を販売する「ライブコマース」。新型コロナウイルスの影響で、中国人客の来日が見込めないなか、沖縄県産品を巨大な中国市場にアピールする手法として注目される。ライブコマースの可能性を探ろうと、SEEC(シーク、東京、阿部隆太郎社長)はこのほど、日本在住の中国人インフルエンサーの林萍(リンピン)さんを起用し、県産品のネット中継販売を北谷町のホテルで実施した。約4時間半で150万円の売り上げを獲得し、初の試みは一定の成果を収めた。(呉俐君)

 だが、中国で県産品の認知度はまだ低く、既に同様の商品が多く現地で流通している。送料を含めて高額になる県産品を、中国の消費者がどこまで受け入れるのかが今後の課題となる。

■視聴者17万人
 「沖縄そばの麺は太く、手打ちそばの食感がある。実は、沖縄そばは福建省(中国南東部)から伝わってきたとも言われる」

 SNS(会員制交流サイト)で総計1千万人のフォロワー数を有する林さんは14日、北谷町のレクー沖縄北谷スパ&リゾートで携帯電話のカメラに向けて、沖縄そばの味や発祥などを視聴者に紹介した。

 中国大手ライブEC(電子商取引)の「淘宝直播(タウバオライブ)」と「微博直播(ウエイボライブ)」の両チャンネルで、計17万人の視聴者が参加した。「淘宝直播」だけで約58万の賛同を示す「いいね」が押されたという。

 同企画を担当したシーク沖縄営業所の趙磊(ちょうらい)さんは、「越境ECの可能性を探るつもりで実施してみたが、こんなにいい反響があると想定しなかった」と驚きを隠せなかった。

 林さんは「視聴者の反応は想像より熱かった。沖縄の商品は独特なストーリーや個性があるのでみんなにとって新鮮だった」と県産品の潜在力を語った。

■30分で完売
 売れ筋を見ると、デパートリウボウ(那覇市)の自社商品のハンドクリームや沖縄そばなどが人気を集めた。用意していたハンドクリーム10セットは、ライブ中継の開始から約30分で完売し、追加した10セットもすぐ売れたという。沖縄そばは、3パックの100セットが完売した。

 しかし、売れない商品もあった。沖縄のマンゴージュースは送料込みで1本(220ミリリットル)約1890円で販売していたが、趙さんは「マンゴージュースは中国にいっぱいある。1本150円のものからタイ産マンゴージュース(6本入り約1840円)まで、さまざまな選択肢がある」と指摘した。

 また、中国では元々ノニを食べる習慣がなく、県産ノニも売り込めなかったという。

 インターネットを介したBtoC(企業対消費者)の取引を巡って、林さんは「沖縄の特産品を中国に売るのは自分にとっても一つの挑戦だ」と語る。国内大手メーカーの商品と比べ、沖縄の商品は送料が商品と同程度になることもあるため、消費者に受け入れられるにはハードルが高いことを指摘する。

 シーク沖縄営業所ウェブマネジャーの櫻井雄一さんは「今回の実証データを基に、関係団体と一緒に課題を解決していきたい。今後も県内の各メーカーなどにライブコマースの活用を提案し、商品の宣伝や知名度のアップにつなげていきたい」と、中国市場へのアプローチを続けていく姿勢を示した。