「記事で名誉傷ついた」元宮古島市議が産経新聞を提訴 きょう初弁論


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訴訟について会見する元宮古島市議の石嶺香織さん(左)と原告側代理人の神原元弁護士=25日、東京都

 【東京】産経新聞の記事で名誉を傷つけられたとして、同社に記事の取り下げと220万円の損害賠償を求めた元宮古島市議の石嶺香織さん(40)が25日、東京地裁で会見を開いた。石嶺さんは「力の弱い個人に対する記事が誹謗(ひぼう)中傷につながらないか検証してほしい」と訴えた。

 訴訟は9月に提起され、26日に第1回口頭弁論が開かれる。訴状などによると産経新聞は2017年3月、インターネット上に公開した記事で「自衛隊差別発言の石嶺香織・宮古島市議、当選後に月収制限超える県営団地に入居」とのタイトルで報じた。石嶺さんが市議当選後に県営住宅に入居した点を問題視するような内容だった。

 石嶺さんは、県営住宅の入居資格制限の内容など記事中に「事実を誤信した」部分があるとした。記事が報じられたことで「違法行為をし、指摘を受けても居直る人物であるとの印象を与える」として、記事の取り下げと名誉毀損(きそん)への損害賠償を求めた。

 会見で石嶺さんは「島の中で誤解が広がったことがとてもつらく、実際の生活に悪影響を及ぼした」とした。

 会見には、自身もSNSで誹謗中傷の被害に遭い、悪質な投稿者への提訴に踏み切ったフリージャーナリストの伊藤詩織さんも参加した。伊藤さんは「メディアには報道の自由と共に、報道の目的についての説明責任があることを自覚してほしい」と語った。

 産経新聞社広報部は取材に「名誉毀損には当たらないと考えている。具体的には裁判の中で主張、立証していく」と回答した。