琉球海運が福岡に物流拠点 5月に完成 宮城社長「海陸一貫を実現へ」


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琉球海運が福岡アイランドシティで建設中の「博多港総合物流センター」のイメージ図(琉球海運提供)

 琉球海運(那覇市、宮城茂社長)が、福岡県の博多港の人工島福岡アイランドシティに「博多港総合物流センター」を建設している。同社が総合物流センターを県外に建設するのは初めてで、2021年5月の完成を予定する。新型コロナウイルス感染症によって海上輸送にも影響が生じているが、宮城社長は「中長期的には沖縄の貨物需要は増加していく。グループ全体で海陸一貫輸送をワンストップで実現して、より高度な物流サービスを提供していきたい」と話した。 (沖田有吾)

 敷地面積は1万5100平方メートル。センター部分は鉄骨造の2階建て、延べ床面積は約8800平方メートル。定温、冷蔵、冷凍の3温度帯に分けられ、商品に適した温度帯で保管できる。

 沖縄発着貨物の右肩上がりの需要に応えるため、琉球海運は積極的な設備投資をしている。18年にRORO船を1隻増やして7隻体制にすることを決めた。今月17日、広島県の尾道造船所で建造を進めてきた貨物船「あやはし」が、進水式を迎えた。年明けの2月から、博多―那覇―宮古―石垣をつなぐ航路に就く。

宮城茂社長

 あやはしはトラックやトレーラーごと積載できる「RORO船」で、全長181・5メートル、幅は26メートル。総トン数1万1900トンは所有する船舶で最大だ。

 硫黄酸化物(SOx)排出規制に対応するために、排ガスからSOxを除去するスクラバーという装置を搭載する。揺れを抑えるフィンスタビライザーを装備しているほか、船体のサイドスラスターを増やして離接岸能力を高めた。

 一方で、20年はコロナ禍による観光客減少で、自動車や業務用食材などの輸送が減っている。4月から10月末までの定期航路の輸送量は、前年同期比7・5%程度減少している。

 それでも宮城社長は「コロナはいずれ収束する。7隻体制にしたことで貨物需要の増加に対応できる」と述べ、海上輸送の需要拡大は続くとの見方を示す。

 県内では三つの総合物流センターを設置しており、豊見城市長堂にも新設する計画を発表している。今後、宮古島市と石垣市にも建設を計画しているという。船舶数も将来的に8隻体制にすることや、現在「みやらびII」1隻で運航している台湾・高雄航路を2隻体制にすることも検討していくとした。