社民県連分裂で沖縄政局どう変わる?


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 県内政界の要役として、知事選など各種選挙戦で主導権を発揮してきた社民党県連が、立憲民主党への合流を巡り事実上の分裂となる公算となった。全国的な党勢衰退と一線を画し、沖縄では社民党唯一の選挙区選出の衆院議員を擁し、県議、市町村議員の数も立憲民主党より多いなど、一定の勢力を保持している。県連は今後、合流派、残留派双方の意見を尊重し「互いが認め合う道」(県連幹部)を模索していく考えだが、県内政局の勢力図が塗り変わっていくことは間違いない。(吉田健一)

 一方、大所帯の社民党県連から一定の議員が合流してくると見込まれる立民県連内には、「母屋が乗っ取られる」との警戒感もある。県内における立民と社民の合流は、今後の主導権争いにつながる可能性もある。

 「県連がどの道を選んでも、それぞれが新基地建設を認めず、『オール沖縄』として選挙戦を戦っていくことに変わりない」

 28日の執行委員会終了後の記者会見で、照屋大河委員長は、県連の11支部がどのような結論を出すにせよ、辺野古新基建設反対で結束する固まりとしてつながり続けるとの考えを強調した。

 複数の県連関係者によると、11支部のうち、宜野湾、那覇北、西原の3支部は社民党にとどまることを選択する見通しだ。また、立民への合流を選択する支部の中にも、残留を希望する議員は存在する。県連関係者によると、県連に所属する県議、市町議員の計16人の意見は拮抗(きっこう)している情勢だという。

 昨年7月の参院選で、社民党が県内で獲得した比例得票数は10万404票で、社民が全国で獲得した比例票の約10%を占めた。社民党が公選法上の政党要件を維持できたのは、沖縄県連が貢献したと見る向きが強い。

 また、県内の比例票は自民党に次いで2番目に多く、立憲民主の4万2042票、国民民主の3万2607票を合わせても社民が上回っている。

 基地問題を抱える沖縄で反基地・護憲の旗を掲げてきた党の歴史を踏まえ、今も集票力を維持する県連の存続を望む声が根強くある。一方、全国的な党勢の衰えや、県内でも支持層の高齢化が進むことに将来的な展望に危機感を抱く党員も多く存在する。

 県連幹部は「けんか別れするか、協議離婚するかの分かれ道に今いる。丁寧な話し合いで円満離婚するしかない」と語った。