組踊初心者、外国人も楽しめた 国立劇場おきなわで音声ガイド付き公演


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父のあだを討とうと、酔った阿麻和利(右)の隙をうかがう鶴松(中央・田口博章)、亀千代(金城真次)

 国立劇場おきなわ普及公演「はじめての組踊~Discover KUMIODORI~」が11月21日、浦添市の同劇場であった。1部は同劇場組踊研修修了生の川満香多と比嘉克之を案内人に組踊の楽しみ方を解説し、2部は組踊「二童敵討」を上演した。日本語のほか英語と中国語、韓国語のオーディオガイドを用意し、外国人にも組踊の魅力を伝えた。(藤村謙吾)

 二童敵討は、組踊の創始者玉城朝薫が作った五番の一つ。護佐丸の遺児・鶴松(田口博章)、亀千代(金城真次)兄弟が、父の敵のあまおへ=阿麻和利=(玉城盛義)を討つ物語。

 序盤の阿麻和利が見えを切る「七目付」の所作は、大団扇を振り上下左右に顔を動かすたびにぎらりと目が光り、背が高く体格も良い盛義ならではのダイナミックな動きも合わさり引き付けられた。後半、酒に酔って隙をみせる場面では、兄弟に討たれる直前まで目の光りを殺し、見事な酔態で和ませた。

あまおへ(玉城盛義)の「七目付」=11月21日、浦添市の国立劇場おきなわ

 兄弟が母(新垣悟)に別れを告げる場面は、地謡による「仲村渠節」「散山節」「伊野波節」が、涙を誘った。田口と金城の見た目の美しさと、新垣のはかなさも場面に説得力を持たせた。あだ討ちの場面で田口と金城は、口元に微笑をたたえて阿麻和利に近づく。母との別れの場面とは対照的な表情が舞台に変化を与えた。

 ほか出演は知花令磨、下地心一郎、髙井賢太郎、島袋浩大。地謡は歌三線が花城英樹、玉城和樹、和田信一、箏は町田倫士、笛は澤井毎里子、胡弓は平良大、太鼓は横目大通。

 第1部では、組踊の見方や歴史、唱えの違いなどを実演も交えて解説し、組踊初心者に同芸能の魅力を伝えた。解説の比嘉をはじめ、昨年度研修を修了した第5期組踊研修生の下地、髙井が出演し、成長した姿を見せ、劇場の常連客も楽しませた。