コロナ8次補正可決 沖縄県議会本会議 離島への製糖労働者にPCR


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
体調不良の玉城知事が欠席して始まった県議会 11月定例会=2日午前、那覇市の県議会棟

 県議会は2日の11月定例会本会議で、新型コロナウイルス感染症対策を柱とする総額147億893万円の本年度一般会計補正予算案を全会一致で可決した。コロナに関する補正予算は8度目。新規事業として医療機関や介護施設職員に来年1月から3月まで、1人当たり月1回のPCR検査を実施する。代表質問も始まり、与野党4人が登壇した。富川盛武副知事は冒頭、入院中の玉城デニー知事が欠席することに「深くおわび申し上げる」と理解を求めた。

 長嶺豊農林水産部長は医療体制が十分でない離島の製糖工場で、製糖期に働く県外などからの季節労働者に対し、渡航前のPCR検査を事業者と連携して行うと説明した。当山勝利氏(沖縄・平和)への答弁。

 米海兵隊が空軍嘉手納基地に格納庫などの施設を建設したことについて金城賢知事公室長は「これ以上の基地負担の増加があってはならない」と語った。米軍が日本政府、地元自治体に伝えていなかったことに触れ「直接実施する工事でも、地元に大きな影響を与えるものについては(米軍は)情報提供すべきだ」と話した。当山氏への答弁。

 県が新型コロナ対策本部会議の議事録を公表していない問題を巡り、仲里全孝氏(沖縄・自民)が追及したが、大城玲子保健医療部長は「議事概要を策定し配布資料と公表している」と述べ、記録の公表方針を変えなかった。

 大城部長は離島やへき地を含め県内でオンライン診療を実施している医療機関が93施設あると述べた。崎山嗣幸氏(沖縄・平和)への答弁。

 嘉数登商工労働部長は6月1日時点での県の障がい者実雇用率は知事部局など5機関合計で1・99%だったと明らかにした。知事部局、病院事業局、県教委の3機関は法定雇用率未達成だという。仲里氏への答弁。

基地
 末松文信氏 万国津梁(しんりょう)会議の提言をどう活用して日米両政府と交渉するのか。
 金城賢知事公室長 県としては提言を論拠の一つとして活用し(名護市)辺野古新基地建設を断念し、普天間飛行場を県外・国外へ移設することが沖縄の基地負担軽減と日米安全保障体制の安定的運用という観点からも有益だと訴える。
 末松氏 会議の提言は全て臆測の話だ。反論しないのか。
 金城知事公室長 委員は学識経験者として、その知見を生かした形で提言している。
 崎山嗣幸氏 沖縄防衛局が申請した辺野古埋め立ての設計変更について、最終判断はいつごろか。
 上原国定土木建築部長 申請は大規模な地盤改良工事の追加だけでなく、施工計画の大幅な見直しや環境影響の再検討を含み、変更が多岐にわたる。疑義を照会した場合、防衛局の回答も時間を要すると考えており、処分時期を予測することは困難だ。

コロナ
 末松文信氏 新型コロナ感染症の影響を受けた県内の文化芸術団体への経済的支援は。
 渡久地一浩県文化観光スポーツ部長 関係者向け各種支援策についての案内窓口の設置や、感染症対策を含めたコンテンツ配信などによる、新しい生活様式に対応した取り組みへの支援策を講じてきた。現在これらの事業の継続支援や、コンテンツを県内外へ発信するためのまとめサイトを準備している。
 仲里全孝氏 インフルエンザワクチンの県内の対応は万全か。
 大城玲子保健医療部長 11月から県医薬品卸業協会の協力の下、インフルエンザワクチンの在庫数の把握を進めている。今季は新型コロナウイルス感染症とインフルの同時流行が懸念され、必要数が増えることが想定されるため、11月20日付で、厚生労働省へワクチン供給の追加を求める要望書を提出するとともに、全国知事会を通して必要量の確保を要望している。

経済
 末松文信氏 北部振興の取り組みについて伺う。
 宮城力企画部長 シークヮーサー加工施設の整備や観光交流施設や情報関連産業集積施設などの整備が進められ、2020年3月時点で約2500人の雇用が創出された。
 末松氏 Go Toキャンペーンによる観光への影響はどうか。
 渡久地一浩文化観光スポーツ部長 県ホテル旅館生活衛生同業組合が実施した会員向けの調査によると、8月の客室稼働率は22%、9月は26・8%、10月は40%と改善傾向にある。
 仲里全孝氏 豚熱発生農家への手当金支払いの状況は。
 長嶺豊農林水産部長 防疫措置を実施した10農場について、現在8農場が(交付)決定済みで、うち7農場は支払いまで完了した。残り2農場は交付申請中だ。

福祉
 当山勝利氏 生活保護受給者の推移と住宅確保給付金の支給状況は。
 名渡山晶子子ども生活福祉部長 本年10月の速報値で過去最多の3万8223人で昨年同月の3万7881人より0・9%増加。住居確保給付金は10月末現在、新規支給決定件数は2665件、約3億5985万円となっている。
 崎山嗣幸氏 第32軍司令部壕保存公開の今後の取り組み、首里城再建の進め方、遺骨収集について伺う。
 名渡山部長 本年度、専門家で構成する検討委員会を設置し、壕の保存・公開の可能性、平和発信・継承の在り方などについて検討していきたい。首里城復旧・復興に向けた委員会と引き続き連携していく。1987年度と91年度に立ち入り可能な範囲の調査では遺骨は見つからなかった。