「人生で一度なのに」… 新成人、晴れの日一変 コロナ影響で式典中止・縮小


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募金箱を作成し、成人式の式典開催資金造成を目指す那覇市の石田中校区成人式実行委員会のメンバーら=那覇市内(比嘉にいなさん提供)

 1カ月後に迫った2021年の成人式。沖縄県内では2市村が中止、1市が延期を決め、開催予定の自治体でも密集回避のために記念の集合写真を取りやめたり、家族や来賓の出席を制限したりする式典も予定される。成人式を開催しようと模索した行政や実行委員会による苦肉の策だが、新成人からは「寂しい」との声も漏れる。一生に一度の成人式の様相は、新型コロナウイルスの影響で一変した。

 式典中止を決めた宮古島市。島外で暮らす新成人が一斉に帰省してくることを懸念しての措置で、代替策として1万円の祝金を支給する。

 新成人の来間夏希さん(20)=沖縄女子短期大2年=は「人生で一度の成人式なのに。高校を卒業して初めての再会を楽しみにしていた人もいる」と残念がった。市主催の成人式が中止となったが、各中学校区ごとに有志が成人式の開催を検討しているという。ただ「周りから見ると『コロナなのに』とか思われそう。先生も呼んでいいのか」と複雑な心境を吐露した。

 従来から各中学校区ごとに分散開催している那覇市。那覇市の各中学校区成人式実行委員会は会食なしや、参加者全員の連絡先と健康状態を把握するなどの対策を講じる。

 那覇市の石田中校区成人式実行委員会の比嘉にいなさん(19)=沖縄女子短期大2年=は「旗頭や太鼓もなく、集合写真も撮れない。寂しい」と語る。例年、式典の開催費用は市からの10万円の補助金に加え、15万円ほどは地域の祭りなどで寄付を募る。だが今年は軒並み中止となったため、飲食店などに募金箱を設置し、費用捻出に奔走する。「花代は(花屋と)交渉しているが、例年通りは難しい」と明かした。

 式典を開く自治体の多くは「新型コロナウイルス感染症にかかる沖縄県主催イベント等実施ガイドライン」に沿った方法を検討する。会場の入場制限が設定されたため、オンライン配信を計画する自治体も多く、読谷村ではFMよみたんが生配信を予定している。“ウィズコロナ”での成人式に向け、新たな方法も模索されている。