北大東村、竹富町が過疎「卒業」へ 人口増で新法の指定から外れる 沖縄県内16市町村は継続


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 過疎新法の詳細が11日、判明した。現行18市町村のうち半数以上が「卒業」するという当初の悲観的な見通しから一転して、ほとんどの自治体が引き続き過疎地域に指定されるとみられる。卒業自治体は「厳しい」などと今後の財政運営への影響を懸念した。一方、指定が継続した自治体の首長は「ほっとした」と胸をなで下ろす。

 人口約600人の北大東村は卒業団体となった。宮城光正村長は「過疎法が外れるとソフト事業が厳しくなる。辺地債も活用しながらやっていくが、使える用途が少ない。人口維持や増加に向け基盤をつくらないといけないが、それができない懸念がある」と声を落とした。

 同じく卒業する竹富町の幹部の一人は「町の借金の2~3割は交付税措置がある過疎債で賄っている。他の支援メニューも多く、どんな影響があるか見通せない」と今後の町政運営を懸念した。別の幹部は「竹富町の人口はほぼ横ばいで、減少していないだけだ。弱い財政力や離島であることも考慮してほしかった」と述べた。

 一方、県内過疎市町村の中でも最も少ない人口400人規模の渡名喜村は引き続き過疎地域に指定される。桃原優村長は「小規模離島は新法の適用が継続しないと財政的に厳しい。継続する見込みと聞いてほっとしている」と話した。

 年間500万人の流動人口を記録する県内有数の観光地、沖縄美ら海水族館が立地する本部町も過疎地域に残った。

 平良武康町長は「流動人口は増えているが、定住人口は減少しつつある。新型コロナの影響による景気低迷で、さらに定住人口の減少につながらないかも懸念している。人口減に歯止めを掛けるため、もうしばらくは過疎法が必要だ」と語った。

 過疎地域振興協議会会長の宮里哲座間味村長は「国の財政を見ても次の10年でしっかり卒業していくことが重要だ。人口減対策をしないといけない。それが我々の使命だ」と強調した。