米軍の騒音・廃棄物…「高江の今」動画で発信 ヘリパッド完成4年「テレビも聞こえぬ」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
チョウ類研究者の宮城秋乃さん(左)から説明を受ける「『ヘリパッドいらない』住民の会」のメンバーら=12月、東村高江の北部訓練場返還地

 【東】米軍北部訓練場(東村、国頭村)のヘリコプター発着場(ヘリパッド)建設に抗議を続けてきた「『ヘリパッドいらない』住民の会」は動画共有サイト「ユーチューブ」を通して、基地問題の情報を発信している。2016年12月に北部訓練場過半返還と、それに伴うヘリパッド完成から22日で4年。返還された後も騒音被害に苦しむ高江の現状を伝えるため、試行錯誤を重ねながら動画制作を続ける。

 6月、住民の会はチャンネル「ありがとうやんばる」をユーチューブに開設した。住民の会の伊佐育子さんは「新型コロナウイルスの影響で現場に来られない人も多かった。いろいろな人たちに現場の状況を伝えたかった」と説明した。

 ヘリパッド建設問題の経緯を解説し、抗議行動への参加者の声を紹介する動画などを投稿している。在沖米海兵隊の移転先となるグアムの人々などにも見てもらおうと、英語の字幕付き動画もある。

 12月上旬、チョウ類研究者の宮城秋乃さんの案内で、高江の北部訓練場跡地をリポートする動画も撮影した。現場は1993年に返還された区域。この場所では今年だけでも、米軍由来とみられる軍用食や空き瓶といった廃棄物や、手りゅう弾や銃弾なども見つかっている。国頭村安田の別の返還地では、放射性物質「コバルト60」を含む電子部品も見つかった。住民の会メンバーらは廃棄物を回収し、カメラに向かって「返還する際に米軍が片付けるべきではないか」などと報告していた。

 ヘリ発着場の建設工事は2007年から断続的に続き、今年7月に周辺道路工事を終えて完了した。住民の会は07年から座り込みなどで抗議を続けてきた。工事終了後の現在も、県道70号沿いにある同基地N1ゲート前テントでヘリパッドの運用状況を監視している。

 住民の会の清水暁さんは、「(ヘリパッドが)作られてしまったが、撤去を求めていく。映像を通して島々とつながっていきたい」と強調した。動画チャンネルへのアクセスはhttps://www.youtube.com/channel/UCL-NmKPN-VqqLd3yLFV-oEwとQRコードから。
 (塚崎昇平)