利用者59%が「通所を控えている」 感染時の対応に懸念も 障がい者事業所アンケート


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 今年4月、県は障害福祉サービス等事業所を「適切な感染防止対策の協力を要請」した上で、休業要請の対象外としていた。その一方、新型コロナウイルスの感染拡大で、4~8月の期間中に利用者が「通所を控えている」と回答した事業所は59.4%(101カ所)に達し、「特に影響はなかった」は26.5%(45カ所)にとどまった。5.9%(10カ所)は、利用者が「退所した」「退所予定または退所を検討している」と回答した。

 生産活動収入から利用者の賃金.工賃の支払いができている事業所は全体の45.9%(78カ所)と半数を下回り、このうち37カ所は「現在は生産活動収入から支払いができているが、今後継続できるかは分からない」とした。残りの54.1%(92カ所)は「生産活動収入だけでは賃金や工賃の支払いには足りない」と回答した。事業所には、運営費や職業指導員の給与に用いられる自立支援給付費が毎月給付される。厚生労働省は新型コロナの影響で「生産活動収入の大幅な減少も予測される」とし、当面の間、賃金や工賃に充てることを可能としている。

 沖縄市の支援センターあけぼのは、感染への不安から数人の利用者が通所を控え、在宅支援に切り替えた。同センター所長で、同市手をつなぐ育成会会長も務める桑江澄子さん(70)は「事業所で感染者が発生したらどう対応すればいいのか。一番の不安はその点が不明確なことだ」と懸念する。「障がい者が感染した場合のマニュアルや専用の宿泊療養施設などが示されれば、事業所や保護者の安心につながる」と切望した。