【解説】沖縄県議ジェンダーアンケート 根底に無意識の偏見


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 沖縄県議47人が回答したアンケートでは、7人が選挙中のセクハラや性差別を経験したり、見聞きしたりしたことがあると回答した。その多くが、結婚や育児など、性別役割分業や旧来の単一的な家族観を基に、「こうあるべきだ」と押し付ける無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)に根付いたものとも言える。

 議員になってから、性別による不当な扱いや違和感を抱いた経験がある3人は全て女性だった。回答全般からは、男女平等や多様性を尊重するという傾向がある一方、男性議員がそういった経験をしたことがないのは、議会の構成や運営自体が男性中心だった結果という見方もできる。男性は気付かない、「見えない壁」を自覚しているか。

 注目すべきは、小泉政権が2003年に掲げた「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に」という、いわゆる「2030」の達成見送りに対する沖縄・自民の議員らの見解だ。

 同会派唯一の女性議員、石原朝子氏が「女性が担っている家事・育児・介護などの負担解消に向けての環境整備が十分に整わなかったことが要因」と指摘する一方、「女性が政治に対して理解がない」(仲里全孝氏)、「達成うんぬんではなく、お互いや自分自身を理解している結果と思う」(又吉清義氏)、「女性の子育ての問題もあり、女性自身が指導的地位になりたいというのが足りないのでは」(呉屋宏氏)との意見があった。数値設定への疑問や無回答とする議員も多く、政権与党の自民が打ち出した目標に対して、理解しているとは言えない反応が目立つ。

 菅義偉首相は昨年11月の男女共同参画会議に出席した際、「女性はわが国人口の51%を占める。その声を十分に政策に反映させることが重要」だとし、20年代の可能な限り早い時期に、30%の目標を達成するよう取り組むと述べている。

 ジェンダー平等に向け、女性らが直面する格差や差別、壁について、性別を問わず各議員が足元から見詰め直し、是正に取り組む必要がある。 (座波幸代)