コロナワクチン接種へ準備が進むが、安心するのはまだ早い理由


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 沖縄県内でも接種に向けた準備が進む新型コロナウイルスのワクチン。厚生労働省が有力視する3種は、いずれも2回の接種が必要だ。既に接種が始まっている米国の専門家や開発メーカーの担当者によると、免疫を獲得するには1回目の接種から4~6週間程度を要する。足元では感染者数の増加に歯止めがかからない中、県はワクチン接種を控えた「気の緩み」による感染拡大も警戒する。

 県は今後1週間で新たな感染者は500~800人に上るとの推計を公表している。感染拡大に伴い医療体制も逼迫(ひっぱく)しており、ワクチン接種が行き渡るまでの間、少しでも感染を止めたい考えだ。

 厚労省が現段階で有力視するワクチンは(1)米製薬大手ファイザー(2)米バイオ企業モデルナ(3)英製薬大手アストラゼネカ―の3種。いずれも2回の接種が必要で、1回目の接種から3~4週間を空けて2回目を接種する。2月下旬に国内でワクチン接種が始まっても、免疫獲得には一定の時間を要する。

 国内では医療従事者への優先接種は2月下旬、重症化リスクが高い高齢者への優先接種は3月下旬に始まる予定だが、2回の接種に必要な期間を想定すると、気が抜けない状況は続く。県コロナ対策本部は「県内には32万人の高齢者がいる。開始時期は決まっても、実際に全ての人にどれほどの早さで接種できるかは見えない」と話す。

 新型コロナワクチンは「発症」を防ぐ効果があるとされているが、感染者が他の人にウイルスを広げることを防ぐ「感染予防」の効果があるかは未解明。そのため、ワクチンを接種した人が新型コロナウイルスに感染し、無症状の状態でウイルスを拡散するリスクは排除できていないと専門家は指摘する。県コロナ対策本部は「ワクチンの効果には期待するが、実際にやらないと分からない部分もある。ワクチン接種の準備が始まったからといって油断できない状況だ。引き続き感染対策をしっかりする必要がある」と強調した。