「人の流れ止めないと逼迫状態変わらない」…満床続く北部病院、コロナ慣れに危機感


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(左)新型コロナの医療現場の苦悩を語る永田恵蔵医師(右)北部地域の新型コロナの課題を話す久貝忠男院長=13日、名護市の県立北部病院

 【北部】新型コロナウイルス感染拡大防止のため沖縄県が名護市などに時短営業を要請しているが、北部地域の新規の感染者数は高止まりの状態が続く。昨年12月25日に時短営業の要請が出た名護市では、同日から1月17日までに81人の新規感染者が確認された。北部保健所管内の、約10万2000人の基幹病院である県立北部病院は満床状態が続く。新型コロナの患者の治療に当たる同病院が取材に応じた。

 同病院で新型コロナを担当する永田恵蔵医師は「会食で感染し、家庭内感染などで陽性者が増えている。徹底した感染予防対策が必要な専用病棟では、介護や清掃も看護師が担わざるを得ず、負担が大きい」と、逼迫(ひっぱく)する現場の実態を明らかにした。北部病院が2020年4月以降に対応した新型コロナの患者数は200人以上。年明けには90代の女性が、搬送されたその日に亡くなるなど、死亡例も出た。

 北部病院の調べによると、昨年11月23日~12月27日に入院した新型コロナ患者の感染経路は「夜の街・会食」が37%(41人)で最も多く、次いで「家庭内」が25%(28人)となった。名護市や伊平屋村の飲食店でクラスター(感染者集団)が発生し、感染拡大につながる事例があったという。

 久貝忠男院長は「『コロナ慣れ』で会食に出掛けて感染し、家庭や職場などに広がる傾向がある。昨春の緊急事態宣言時のように、人の流れを止めなければ医療現場の逼迫状態は変わらないだろう」と危機感を示した。 (松堂秀樹)