「最悪の状態」「受け入れるほかない」さらなる時短要請に沖縄の飲食店は


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時短など度重なる要請に苦慮しながら、コロナ対策を徹底しつつ営業を続ける飲食店街=19日午後6時すぎ、那覇市牧志の国際通り屋台村

 新型コロナウイルス感染症の「爆発的感染拡大」が続く沖縄県は19日夕、3度目の緊急事態宣言を発表した。入院患者の増加で各医療機関の病床は逼迫(ひっぱく)し、医療崩壊は目前に迫る。飲食店などに対する営業時間短縮要請を巡っては、県は対象を全県に広げ、営業時間は午後8時までとするよう、さらなる短縮を求めた。「支払いが滞る」「最悪の状態」。先の見えぬ状況に、県民は途方に暮れる。

 「時短要請に応じているが、今でも午後8時に閉めることもある」。那覇市の国際通りで飲食店を営む40代の女性がつぶやいた。19日昼に訪れた客は1人。「開けても家賃も光熱費も払えない。早く収束を願うだけだ」と苦笑いした。

 19日夕。通りから少し入った「国際通り屋台村」も客は数えられるほど。横井聖司村長は「客足が例年の9割減った。さらなる時短は厳しいが、感染が拡大している状況では受け入れるほかない」と話した。那覇市牧志でスナック「みの家」を経営する、竜宮通り会の島袋幸子会長は午後8時までの時短で休業する方針だ。「時短要請に応じない店もあるため効果があるのか疑問だ」との見方だ。

 沖縄市のコザ・ゲート通りは臨時休業する店も目立ち閑散とする。コザライブハウス連絡協議会の古堅喬会長(70)は知事会見の中継を見詰め「これ以上の時短営業や酒類の提供が制限されると休業も増えるだろう。協力金は出演者のギャラに充てるつもりだ」と落胆した。

 苦境の影響は第1次産業にも波及する。「魚を卸している漁師に何も補償がない。このままだと漁師も漁協も続かないよ」と伊良部漁協組合の伊良波宏紀組合長は嘆き、支援を求めた。同漁協は例年の6~7割しか売り上げがない。「1次産業とサービス業はサイクルがあって成り立つ。業種を限定した補償ではなく、全体を見通した補償をしてもらいたい」と切望した。