「名前は人生の看板」 職場で旧姓の砂川さん、選択的夫婦別姓の導入を願う


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「自分が自分であるために、同姓か別姓か選べるようになってほしい」と語る砂川智江さん=2020年12月27日、沖縄市

 選択的夫婦別姓に対する賛否倍率は沖縄県が全国1位との調査結果は、県内の当事者たちに勇気を与えている。沖縄市の団体職員砂川智江さん(43)は、2019年に結婚し、戸籍名が砂川から夫の姓に変わった。「砂川はよくある名字だけど、名前は人生の看板。自分らしく生き続けるために選べるようになってほしい」と制度導入を願う。

 21歳で出産後、故郷の宮古島市の新聞社に就職。家族の助けも得て、未婚のシングルマザーとして子育てと仕事を両立させた。「真っすぐ育ってくれた」一人息子は現在、東京で看護師をしている。

 息子が成人し、自身の結婚を考えた時、立ちはだかったのが姓の問題だった。名前への愛着に加え、息子と違う姓になるのは受け入れがたい胸の痛みを伴った。パートナーにも成人前後の子どもたちがおり、同じ姓のままでいたいという思いを抱いていた。

 ただ、法律婚に迷いはなかった。話し合いの末、最終的には智江さんが改姓した。「40年以上、良いことも悪いことも砂川智江として生きてきた。人生の連続性に揺らぎを感じる」

 昨年11月、市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の存在を知る。調査結果に「悩んでいるのは私一人じゃないと、勇気をもらった」。団体に加入し、県内での活動方法を模索している。

 転職した新しい職場では上司に思いを伝え、昨年12月から砂川姓で働くようになった。「根本的な解決ではないが、職場の理解に感謝している」と喜ぶ。「同姓、別姓どちらで生きるかは、それぞれの夫婦の価値観。選べることで幸せな人が増え、社会全体にとってもプラスになる」。個人が尊重される制度の実現を訴えた。