【深掘り】県のコロナ対策岐路に 鍵握る西村大臣の判断 緊急宣言 国へ要請1週間


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感染拡大を受け、国の緊急事態宣言の対象地域やそれに準ずる地域に指定するよう政府に要請したと発表する玉城デニー知事=22日午後、県庁(代表撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、玉城デニー知事が「国の緊急事態宣言の対象地域」や、それに準ずる「準宣言地域」への指定を政府に求めると表明してから1週間がたつ。事業者への経済支援拡充につなげる狙いだが、県の思惑通りに進むかどうかは楽観視できない現状だ。既に同様の要望を出した広島市が指定されなかった経緯もあり、今後の政府判断が焦点となっている。

「非常に厳しい」

 「県内の事業者に対する経済的影響は、国の緊急事態宣言の指定地区と何ら変わることなく非常に厳しい状況となっている」

 玉城知事は22日、オンラインで参加した自民党の中小企業・小規模事業者政策調査会(会長・根本匠元厚労相)の役員会で、こう訴えた。会合には、沖縄と同様に国の緊急事態宣言の対象地域に含まれていない福島や静岡など、8県の知事と共に参加し、中小事業者への支援拡充を求めた。

 その直後、玉城知事は県庁で記者会見し、政府に緊急事態宣言の「対象地域」「準宣言地域」への指定を求めると明らかにした。認められれば、国が8割を負担する時短営業に応じた飲食店への協力金が、現状の4万円から6万円に引き上げられるなど、経済支援のさらなる拡充が見込める。県の財政負担の軽減にもつながる。ただ、玉城知事は国が要請を受け入れるかについて「楽観的な想定はしていない」と述べた。

専門家の判断

 緊急事態宣言の対象地域か準宣言地域に指定されるには、病床の占有状況など感染拡大の指標と、「専門家の判断が必要になってくる」(内閣府担当者)。

 鍵を握るのが、国の新型コロナ対策のかじ取りを担う西村康稔経済再生担当相の判断だ。西村氏は会見で、県の要請に対し「対応を検討している」と述べるにとどめ、慎重な姿勢だ。

 西銘恒三郎衆院議員ら県選出の自民党議員も26日、西村氏を訪ね、県内事業者への財政支援を求めた。西村氏は宣言地域か準宣言地域を対象に、飲食店の時短営業で影響を受ける事業者向けの一時金支払いを検討していると明かしたが、県が求める協力金の引き上げなど全面的な支援拡充には消極的だったという。

 政府は広島市について、「感染状況は改善傾向にある」として、「準宣言地域」指定を見送った前例もある。県の要望を受け入れるか、別の財政支援拡充の道を探るのか。政府判断の行方が注視される。

 (安里洋輔)