不適切「性癖」ツイートなぜ起きた? 中城村公認Vチューバ-が残した教訓


社会
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中城村バーチャル観光大使の琉花のツイッター上で投稿された文書(ツイッターより)

 中城村の魅力を発信する同村公認の「バーチャルユーチューバー(Vチューバー)」で、架空キャラクターの「琉花(るか)」が、デビュー後わずか1カ月で活動の見直しを迫られた。インターネットユーザーにPRする自由な情報発信が注目されたが、性的な意味を含む言葉の投稿などに批判が集中。村公認として「不適切」と判断された。日本の有名企業の情報発信でも同様の事例が問題化しており、識者は「発信側はネット上で何が問題になっているか、常に学ばないといけない」と指摘する。 (金良孝矢)

 「琉花」はツイッターでハッシュタグ「#私の容姿が性癖に刺さる人に届いてほしい」を使ったり、村と関係のない趣味の投稿をしたりした。使用する言葉には、由来が性的な意味を含む俗語(ネットスラング)もあり、投稿を見た人から「性的に女性を消費し搾取する表現を公認するのか」「内容が中城に合っているのか」との指摘が相次いだ。一方、ネットユーザーの間では俗語が浸透していることから琉花を擁護する投稿もあり、ネット上は意見対立で「炎上」の様相を呈した。

チェック機能働かず

 琉花は昨年12月にデビューし、バーチャル観光大使として、ツイッターやライブ配信サイト「ショールーム」で活動する。事業は東京の業者が落札し、国の地方創生臨時交付金約600万円を活用して琉花を企画・運用している。コロナ禍で村を訪れる観光客が減少する中、ネットで情報発信し、ふるさと納税につなげる目的で始まった。

 運用ルールについて、村と業者は「社会通念上、良くない」「公序良俗に反する」投稿や発言は禁止と確認していた。しかし、実際は琉花のアカウントを使って投稿する人が自由に発信できる状態で、村と業者によるチェック機能は働かなかったとみられる。村と業者は批判を受け、琉花の情報発信を「不適切」と認め、投稿を全て削除し謝罪した。今後は琉花の発言や投稿を、村と村観光協会、業者の3者でチェックするとした。

全国でも事例

 日本を代表する企業の公式ツイッターでも同様の事例が起きている。下着メーカーが性的な描写を連想させる投稿をし、玩具製造・販売業者がハッシュタグ「#個人情報を勝手に暴露します」を使って問題化した。

 ネット事情に詳しい県内在住の「モバイルプリンス」こと島袋コウさんは「内輪ウケするスラングでファンを獲得する戦略はあるが、品を欠いた言葉も多い。業者はバランスを取ったり、ブレーキをかけたりするべきだった」と指摘する。表現の自由の重要性を踏まえた上で、どこまで認められるのか「線引きも考える必要がある」とネット社会の課題を挙げた。