「なぜ準備不足」「経営のこと分かってない」協力金の支給遅れで飲食店に募る不満、疑問


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スタッフ全員がマスク着用するなどコロナ対策14箇条を店舗前に貼り付けて営業再開するえん沖縄=9日、那覇市久茂地

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う県独自の緊急事態宣言は、7日までとした当初の期限が延び、28日までの宣言延長に入った。県内全域の飲食店に対する営業時間短縮の要請が続いている。時短は午後8時までの営業終了が求められるため、「店を開けても売り上げにつながらない」としてシャッターを下ろし続けている店舗は多い。県は1日当たり4万円の時短協力金を継続して支給するが、これまでに要請に応じてきた店舗への支払いが大幅に遅れてきたことに、事業者は不満を募らせている。

 独自にコロナ対策

 那覇市久茂地にある居酒屋は、1月に開業した直後に緊急事態宣言が発令された。現在は、昼にスタッフが市内を歩いて弁当を販売する。「昼飲み」も始めたが、オフィス街ということもあり客足は伸びない。店長の男性は「オープンしたばかりで認知度もない。店を知ってもらうためにも閉めるわけにはいかない」とため息交じりに話した。

 那覇市久茂地の居酒屋「えん沖縄」は、時短要請を受けて7日まで臨時休業していたが、8日に営業を再開した。とはいえ、午後4~8時という限られた営業だ。又吉真由美社長は「常連客からの再開要望が多く、雇用や仕入れ先との関係性もあるので再開を決めた」と説明する。客が安心して来店できるよう予約者のみで、最大座席数の半分以下の集客数に抑えるなど独自のコロナ対策に取り組む。

 一方、国際通りのある飲食店は、1月22日から臨時休業が続く。8日からの営業再開を見込んだが、緊急事態宣言の延長を受けて、休業を継続する判断となった。担当者は「酒類の提供は午後7時まで。店を開けても売り上げにつながらない」と声を落とす。また、休業で影響を受ける納入業者などを気遣い、「ビジネスパートナーの仕入れ先にも補助してほしい。私たちも仕入れ先があってこその営業だ。協力金の対象を広げてほしい」と強く求めた。

 県説明「2週間」

 県によると、時短に応じた事業者に対する協力金の支払いは、5日までに申請があった5023件のうち、支払い済みは約3・04%の153件にとどまる。支給遅れに事業者からは憤りの声が上がる。

 浦添市でバーを経営する男性は、昨年12月17日~1月11日の協力金104万円を、1月12日に申請した。当初は支給まで「2週間」が県の説明だった。だが、1カ月近く経過した現在も支払われていない。家賃や光熱費、リース代などの支払いに協力金を充てる予定だったが、可能な取引先には事情を説明して待ってもらっている状況だ。

 男性は「酒屋など、協力金の出ない業者は、私たちの支払いを当てにして生計を立てている。簡単に『(協力金の支給が)延びる』というのは経営のことを全く分かっていない」と憤慨した。

 那覇市の飲食店経営者は、県に協力金支給遅れの理由を問い合わせたが、納得できる回答はなかったという。「緊急事態宣言は初めてではないのに、なぜウェブ申請の準備もしていないのか」と疑問を呈した。 (沖田有吾、呉俐君)